ロシア人の名前というと、あなたはどんな名前を思い浮かべますか?聞けば何となくロシア人っぽいと感じることもありますが、具体的な理由や根拠まで深く考える機会は少ないですよね。例えば日本の名字を見てみると、地名や地形に由来するものが基本的に圧倒的に多いです。ですが、ロシアの名字は、父親の名やニックネームに由来するものが圧倒的多数で、次は職業に関するものが多いです。でも、あなたが名前を聞いたときにピンとくる“ロシアっぽさ”は、実はその意味ではなく、やや文法的な語形成、具体的には語末の形から来ています。今回は、ロシア人によくある名前、特に名字を6つのポイントにまとめてご紹介します。
ロシア人によくある名前を6つのポイントでまとめてみた
1. エフ/オフ 型
非常にロシア語的な名字の語末形です。例えば、現在の首相で前大統領のメドヴェージェフ氏の名字もこの形です。ちなみにロシア語で“メドヴェージ“は”熊”の意です。氏の容姿にも少し通じるものがありますね(笑)。他にも日本で有名なお菓子メーカーの創業者、モロゾフ氏やゴンチャロフ氏の名字もこの形です。ゴンチャロフの語根、“ゴンチャル“とはロシア語で”製陶“という意味です。どこかの時点のご先祖に窯元関係の方がいらっしゃったのでしょう。ちなみに女性の場合は”-エフ/オフ“の代わりに、”-エワ/オワ“という形になります。スポーツ選手のシャラポワさん、イシンバエワさんといった名字は、みなさんお馴染みですね。
2. スキー 型
これもいかにもロシア人、という雰囲気ですね。有名な文豪、ドストエフスキ-、作曲家のチャイコフスキーもこの形です。女性系は-スカヤとなります。ロシア語で形容詞を作る際の語尾でもあるので、イワノフ村のイワノフスキ―さん、といった形で形成されることも多い名字です。また、ロシアだけでなく、ポーランドやベラルーシに起源を持つ家系にも多い名字の形です。
3. イン 型
ひとつ目と同様、非常にロシア語的な形の名字です。今、有名なところでは、ロシア大統領のプーチン氏でしょう。この形でよく聞くのが、イリイン(=“イリヤ”という名前+語尾“イン”)という名字、そう言えば、これによく似たものに、飛行機で有名なイリューシン(=“イリューシャ”という名前+語尾“イン”)という名字もありますね。女性系は-イナです。上記の名字は順番に、プーチナ、イリイナ、イリューシナとなります。
4. エンコ 型
この形を見て、ロシアの元首相のキリエンコ氏を思い出された方もいらっしゃるかも知れませんね。ちなみにこの名字は男女同形で、女性も全く同じ-エンコの形をとります。過去、ウクライナで美しすぎると話題になった元首相は、ティモシェンコ氏。その当時のウクライナ大統領はユーシェンコ氏でした。サッカー選手ではシェフチェンコ氏が有名ですね。これらは元々ウクライナ起源の名字です。ただ、ソ連時代には、ロシアとひとつの国家だったので、人の行き来も非常に多く、現在ロシアにロシア人として暮らす人の中にもこの形の名字の人は少なくありません。
5. ウック/ユック 型
上記3つのタイプに比べると多くはありませんが、ロシア国内で十分よく見かける形です。映画監督のセルゲイ・ボンダルチュック氏の名字もこの形です。このタイプもウクライナ起源で、男女同形です。職業由来のものが多いのも特徴的です。ボンダルチュックという名字は樽作り職人という意味、ゴンチャルックという名字は1番目のゴンチャロフ氏と同じ語源(製陶業)を持っています。
6. ヴィッチ 型
これも男女同形の名字です。ユーゴスラビアやベラルーシなどが起源の場合が多いようですが、やはり現在のロシア国内でも特に珍しくはない形です。このタイプは、父親の名前に由来するものがほとんどです。例えば、ロシアの有名な億万長者アブラーモヴィッチ、他にもロマーノヴィッチ、ミローノヴィッチなどがあります。この型の名字はユダヤ人である、という通説もありますが、必ずしもそうではないようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はロシアの名前、特に名字についてご紹介しましたが、意外に単純な感じがしませんか?驚くことに、この6つのタイプに9割のロシア人が該当しています。例えば、初対面のロシア人に何だか長い覚えづらい名字を言われたとしても、もう驚かないで大丈夫です。「あ、1個目のタイプだな。」と分析したり、サラリと「ウクライナに起源のある名字ですね。」と反応してみてください。 きっと会話が弾むことでしょう。
ロシア人によくある名前を6つのポイントでまとめてみた
1. エフ/オフ 型
2. スキー 型
3. イン 型
4. エンコ 型
5. ウック/ユック 型
6. ヴィッチ 型