あなたはヨーロッパで英語を公用語にしている国がいくつあるか知っていますか?すぐに思い浮かぶのはイギリスですが、実はそのほかにはアイルランドとマルタだけなんです。「でも英語ならどこでも通じるんでしょ?」と考えている人は要注意。観光客が集まる都市でも、意外に英語が通じないことがあります。
というのも、日本人は外国語といえばほぼ全員がまず英語を学びますが、ヨーロッパはそうとは限りません。また国語の次の言語としてドイツ語やフランス語を学ぶ人も多く、3か国語できても英語ができない、という人もいるのです。そこで今回は、ヨーロッパ全箇所を回ったことがある筆者が、日本人がよく旅行に行く都市のなかであまり英語が通じないところ10都市をご紹介します。
ヨーロッパの人気都市で英語があまり通じない都市10選
1. Budapest(ブダペスト、ハンガリー)
西・中央ヨーロッパと比較すると、東ヨーロッパは英語が通じにくい傾向があります。日本人旅行者が好む東欧3都市(ウィーン、プラハ、ブダペスト)のなかでも、最も英語が通じないのがブダペスト。
オーストリア(ハプスブルク王朝)に統治されていた影響で今でもドイツ語はよく通じますが、その分、英語の通用度はいまいち。空港やホテルは問題ありませんが、地元の人が集まる市場で買い物がしたい、外国人観光客の少ない地方に行きたいという人は、事前にハンガリー語かドイツ語で単語を書いた紙などを準備していきましょう。
なお、ブタペストについては、以下に詳しく解説していますのでぜひ一読してみてください。
2. Barcelona(バルセロナ、スペイン)
バルセロナに限らず、スペイン全土で英語はあまり通じません。観光地や4つ星以上のホテルであれば問題なく英語が通じますが、それ以外の場所では通じないことがほとんどです。
そんなスペインのなかでも、あえてバルセロナを挙げた理由は、バルセロナがスペインのカタルーニャ地方の都市で、主に使う言語が標準スペイン語ではなく「カタロニア語」だから。カタロニア語はカタルーニャの地方言語ですが、日本の東北弁や関西弁とは違い、ちゃんとしたスペインの「公用語」。しかもカタルーニャ地方の人々は特に地域文化を重要視しているため、カタロニア語をとても大切にしています。
バルセロナ市民にとっては、カタロニア語が一番でその次が標準スペイン語、三番目に英語という優先順位なのです。
なお、スペインの英語力については以下にまとめていますので、こちらも合わせて読んでみてください。
3. Prague(プラハ、チェコ)
ひと昔前のプラハは、ホテルや空港以外はほぼ英語が通じないといっても過言ではありませんでした。しかしここ数年でプラハの英語事情は急激に良くなりつつあります。
というのも、プラハは今、空前の観光ブーム。観光の中心となる旧市街広場は連日多くの観光客でにぎわっています。これだけ観光客が集まれば、英語を使える人が増えるのも必然で、最近は若い人に限ればほぼ英語が通じます。
とはいえ、高齢者や地元のスーパーなどではまだまだ英語が通じない場面もあるので、困ったときはできるだけ若い人を選んで声を掛けるといいでしょう。
なお、プラハのおすすめ観光名所を以下にまとめています。ぜひこちらも読んでみてください。
4. Naples(ナポリ、イタリア)
イタリアもスペイン同様あまり英語が通じない国ですが、特に南にいくにしたがって英語が通じにくくなっていきます。南イタリア最大の都市、ナポリでもあまり英語は通じず、英語で質問してもイタリア語で返ってきてしまうことが少なくありません。
また、現地の人が英語で話してくれても、イタリア語のなまりが強く、英語と気づけないことも…。明るく陽気な人が多い南イタリアですから、そのへんは身振り手振りでカバーしましょう!
イタリアの英語事情については現地在住者が以下にまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。
5. Rome(ローマ、イタリア)
世界有数の観光都市でありながら、ホテルや観光客相手のみやげ物屋を除くと、意外に英語が通じなくて困る場面があります。日本の東京駅にあたる大きな駅、テルミニ駅では、切符を買う窓口では英語が通じても、駅を利用する地元の人には通じないことがしょっちゅうです。
ローマで英語を使って何かを尋ねたいときは、地元の人に聞くよりも同じ観光客に聞くほうが無難かもしれません。
なお、ローマのおすすめレストランは以下で特集していますので、旅行前にぜひチェックしてみてください。
6. Lisbon(リスボン、ポルトガル)
ポルトガルもあまり英語が通じない国。観光客が多いリスボンは他の地方都市よりは多少マシですが、それでもレストランやホテル以外は期待できません。
意外だったのは、日本では一般的にスペイン語とポルトガル語は非常によく似ていて兄弟みたいなものと考えられていますが、ポルトガル人の多くはそう言われるのを嫌うということ。ポルトガル語に誇りを持っている人が多いので、スペイン語で話しかけるくらいなら英語を使ったほうが印象は良いようです。
なお、リスボンに初めて行く人のために以下にリスボンの特徴をまとめていますので、旅行前にチェックしてみてください。
7. Paris(パリ、フランス)
世界で一番観光客数が多いパリ。しかし英語が通じる度合いは、「日本と同じくらい」か、「東京より少しマシ」という程度。
ただ、ひと昔前によく言われた「フランス人はプライドが高いから、英語が話せるのにフランス語でしか答えてくれない」というのは都市伝説的な話で、単純に英語が得意でない人が多いのです。
とはいえ、そこは世界一の観光都市。簡単な単語や数字くらいはみんな理解してくれるので、怖がらずに話しかけてみましょう。挨拶だけでも「ボンジュール」とフランス語で話しかけると、パリっ子は機嫌よく応対してくれますよ。
なお、フランスで英語が通じるかについては、現地在住のライターに以下の記事で詳しく解説してもらっていますので、こちらもチェックしておきましょう。
8. Brussels(ブリュッセル、ベルギー)
そもそもベルギーは、非常に複雑な言語体系の国。南北を分ける「言語境界線」が公式に設定されていて、境界線より北のフランドル地域ではオランダ語が、南のワロン地域ではフランス語、さらにドイツとの国境付近の地域ではドイツ語が公用語になっています。
ブリュッセルはこの境界線に極めて近い位置にあり、オランダ語とフランス語の併用地域。必然的に英語の優先順位は低くなり、駅の案内表示もオランダ語とフランス語だけで英語がなかったりします。
ベルギーの英語力についても以下に体験談を踏まえて解説していますので、旅行前に確認しておきましょう。
9. Geneva(ジュネーブ、スイス)
スイスもまたドイツ語、フランス語、イタリア語と大きく3つの語圏がある国家。英語はどの地域でもそこそこ通じますが、前述の3つの語圏のなかでもジュネーブを含むフランス語圏は英語が通じる度合いが他の地域に比べて悪くなります。駅やホテルはほぼ問題ありませんが、タクシー運転手などはかなりあやしいといえます。
スイスの英語事情は言語がたくさんあるため事前に確認しておいたほうがよいです。以下に現地の事情をまとめましたので、合わせて一読ください。
10. Munich(ミュンヘン、ドイツ)
ドイツはイタリアやスペインなどと比較すると英語が通じやすいと言えますが、それでもミュンヘンはハブ空港があり、国際商業都市であるフランクフルトと比べると英語が通じにくい印象で、ホテルや大きな駅では問題なくても、ちょっと郊外になると英語が通じなくなります。
また、ショッピングセンターなどでは、英語で質問をすると「ちょっと待ってて」と言って英語が話せる店員さんを連れてきてくれたりします。
なお、ミュンヘンについては現地在住者に色々な情報を書いてもらっていますので、こちらもぜひチェックしてください。
まとめ
いかがでしたか?
ここまで読んで、とある地域がまったく挙がっていないことに気づいていただけましたか?そう、スウェーデンやデンマークなど北欧の国です。北欧は非常に教育水準が高く、また英米のテレビ番組が翻訳なしで放送されていることも多いため、英語だけで快適に旅行することができます。
最後に1つ、筆者の経験から英語が通じない都市でうまくコミュニケーションを取る方法をご紹介。それは、挨拶とお礼の言葉だけは訪れる国の言葉を覚えていくこと。それだけで相手は好印象を抱いてくれ、困ったときは英語を話せる人を紹介してくれたり、目的地に連れて行ってくれたりと助けてくれますよ。
ヨーロッパの人気都市で英語があまり通じない都市10選
1. Budapest(ブダペスト、ハンガリー)
2. Barcelona(バルセロナ、スペイン)
3. Prague(プラハ、チェコ)
4. Naples(ナポリ、イタリア)
5. Rome(ローマ、イタリア)
6. Lisbon(リスボン、ポルトガル)
7. Paris(パリ、フランス)
8. Brussels(ブリュッセル、ベルギー)
9. Geneva(ジュネーブ、スイス)
10. Munich(ミュンヘン、ドイツ)