シンガポール人の名前についてあなたはどのくらいご存知ですか?日本から離れた東南アジアの国シンガポール。そんなシンガポールにどのくらい馴染みがるでしょう。シンガポールは多民族から成り立つ国です。民族を代表する中華系が75%以上、お隣の国のマレー系が約15%、古くから労働力としてシンガポールに移住しているインド系が約8%。それぞれの民族にそれぞれの文化が息づいています。名前についてもこの文化を象徴しています。非常に多くの名前が存在しています。今回は、その遠く離れた多民族国家シンガポール人の名前について迫ってみたいと思います。
シンガポール人の名前について7つのポイントでまとめてみた
1. 一番多い中華系
シンガポールの中でも一番多いのが中華系。シンガポール全体の7割以上を占めています。その中華系でも細かく民族が分かれているため、祖先や家庭で使われている方言によって名前の読み方が変わってきます。まずは民族に分けてみましょう。非常に多くの民族や方言が存在しますが、特に多い代表的なものを挙げてみます。シンガポールでは福建、潮州、広東、客家が多く見受けられます。「黄」という苗字を一つとってもそれぞれの文化圏、使用している方言によって呼び方が変わります。
福建: Ng
潮州: Ng
広東: Wong
客家: Wong
2. 中華系おける漢字別の苗字
ここで面白いのはそれぞれの方言によって漢字の読み方が違うのですが、発音別にすると違う漢字でも同じ発音をすることがあります。
「黄」福建: Ng, 潮州: Ng
「呉」客家: Ng
「伍」広東: Ng一つの発音をとってもこれだけの違いがあります。ほかの漢字や発音の違いに対応するのは私たちに日本人にとっては至難の業ではないでしょうか。
3. 中華系苗字ランキングトップ10
こちらを見ていただくとわかりますが、同じ発音でも違う漢字。同じ漢字でも違う発音となっています。シンガポールでの発音別のトップ10はこちらになっています。
発音別
Tan: 9.5% 陈
Lim: 6.6% 林
Lee: 4.5% 李
Ng: 4.2% 黄,吴,伍
Ong: 2.7% 王
Wong: 2.6% 汪, 黄
Goh: 2.2% 吴
Chua: 2.2% 蔡
Chan: 1.9% 陈, 曾
Koh: 1.9% 许
Teo: 1.9% 张
4. 不思議なイングリッシュネーム
シンガポールの中華系の人たちはお互いにイングリッシュネームで呼び合うことが非常に多くあります。こちらのイングリッシュネームについてはかなり複雑なのですが、もともと中華系の名前があり、それとは別にイングリッシュネームを持っている人、もともとの中華系の名前がイングリッシュネームの人、イングリッシュネームを持たない人と様々です。それに加えて方言の名前が絡んできますからますます複雑になってきます。
ですので、名前を覚えるときは漢字で覚えるのではなく、アルファベットで覚えることをお勧めします。きっと馴染みやすさがあると思います。
またこのイングリッシュネームですが、聞いたこともないような創作イングリッシュネームに出会うこともあります。お店で店員さんの名札を見て新たなイングリッシュネームに出会うこともあり、シンガポールの名前の奥深さを感じざるを得ません。不思議なことにマレー系やインド系の人たちはこのイングリッシュネームがありません。
5. 女性の名前が長くなる
中華系の女性は結婚するとどんどん名前が長くなります。例えば、名前を表記すると
Lim Yi Xin
これが黄さんと結婚すると
Wong Lim Yi Xin
となります。中には夫の姓を名乗らずもともとの姓を名乗る人もいますので、本当に様々です。これにイングリッシュネームがつくとなると、表記上ではどんどん長くなってしまうのです。
6. マレー系の名前
基本的にマレーの名前に苗字はないそうです。でもとっても名前が長い印象があります。これは「**の息子の」binとか「**の娘の」binteという構成になっているそうです。例えば、
ムハメド太郎さんの息子のアブドゥル小太郎
Abudul Kotaro bin Muhamed Taroとなります。また今日ではこのbinやbinteを使わない人もいます。家族間など親しい間柄では、省略した名前で呼び合うこともあるようです。
7. インド系の名前
シンガポールに住んでいる多くのインド人は南インドの出身です。先祖が南インドの出身の場合、多くの人が苗字を持っていないため、父親の頭文字を自分の名前に付けます。例えば父親の名前が太郎の場合、
T. Kotaro
既婚女性の場合は父親のイニシャルを使うのをやめ、夫のイニシャルを使うのが一般的です。
S. Hanako から T. Hanako
これとは別に宗教によっても名前の付け方が変わります。シーク教徒の場合は、男性にはシン(Singh)、女性にはカウル(Kaur)。まれにシン・グプタ(Singh Gupta)をつけます。また今日では、長い名前を二つに分けて使うこともあります。
まとめ
いかがでしたか?
代表的な民族を上げただけでこれだけ違ってきますので、シンガポール全体を見てよくある苗字、名前を挙げるのは非常に困難ですが、それぞれの文化を理解し、なじむことができれば、これだけの多種にわたる名前にも対応していくことができると思います。また本人が呼んでほしい名前も人それぞれ違うという特徴もシンガポールならではでしょう。このためニックネームなども存在していないように思います。
シンガポール人の名前について7つのポイントでまとめてみた
1. 一番多い中華系
2. 中華系おける漢字別の苗字
3. 中華系苗字ランキングトップ10
4. 不思議なイングリッシュネーム
5. 女性の名前が長くなる
6. マレー系の名前
7. インド系の名前