オーストラリア人はお笑いが大好きで、シドニーやメルボルンでは世界中から人気コメディアンが集まるコメディフェスティバルが毎年開かれています。また繁華街にはコメディクラブとよばれる、お笑い芸人がスタンダップコメディを披露するチケット制のクラブが必ずあり、芸人たちが日々しのぎを削っています。
今回は、そんなオーストラリアのお笑い事情を現地在住の筆者が詳しくご紹介します。
オーストラリアのお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ事情!
1. オーストラリアのお笑い芸人は1人が基本
漫才コンビの多い日本と違い、オーストラリアでは1人のコメディアンがひたすら喋って笑わせるというスタンダップコメディが主流です。
内容は政治や社会風刺など大人なテーマで、コンビのようにツッコミ役がいないのでずっと1人で芸人がボケまくり、観客がオチを想像して笑う、というやや高度なお笑いスタイル。社会や政治に対してある程度理解していないとこうしたお笑いでは笑うことが難しいので、観客も20代以上の大人がメインなのです。
2. オーストラリアのお笑い文化は自虐的
意外にも自虐ネタが大好きなオーストラリア人は、有名人や政治家などを風刺ネタにするのはもちろん「大国アメリカやイギリスに必死に取り入って欧米の仲間入りをしようとするが相手にされない田舎者」という自国のイメージを逆手に取った笑いも好きです。
お気楽に見えるオーストラリア人ですが、英語圏でありながら南半球という西洋社会からはみ出した辺境にいるコンプレックスが実はあるのです。それだけでなく、多民族国家ならではの移民への人種差別や、ありがちな偏見すらもネタにするところは逆に感心してしまいます。
なお、オーストラリア人の性格については以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひ一読してみてください。
3. オーストラリアのお笑い芸人は30代以上がメイン
オーストラリアのお笑い芸人は主に30代以上で、テレビで司会番組を持つレベルの芸人になると大抵が40代です。日本のひな壇番組のような若手芸人が集まるテレビ番組がなく、今はシットコムと呼ばれるシチュエーションコメディ番組もかなり減っています。
そのため、最初はコメディフェスティバルやラジオなどで主にスキルを磨いてから、テレビの世界に入るというパターンが多く、自然と年齢も高くなるようです。またその人種ネタを逆手にとって、エジプトやベトナムなど移民出身のコメディアンが割と多いのも特徴です。
なお、オーストラリアのテレビ事情について以下で特集していますので、こちらもぜひ読んでみてください。
4. オーストラリアの人気お笑い芸人にあの人も!?
オーストラリアで人気のお笑い芸人は、大御所のBarry Humphries(バリー ハンフリーズ)、数学者でもあるAdam Spencer(アダム スペンサー)、Lawrence Mooney(ローレンス ムーニー)、Jim Jefferies(ジム ジェフリーズ)、イギリス進出したAdam Hills(アダム ヒルズ)、テレビで活躍中のWil Anderson(ウィル アンダーソン)、Hughesy(ヒュージー)の愛称で知られるDave Hughes(デイブ ヒューズ)、弁護士出身のShaun Micallef(ショーン マカレフ)、数少ない女性芸人のMagda Szubanski(マグダ ズバンスキー)などです。
意外なところでは、俳優のエリック バナは、有名になる前にオーストラリアでコメディアンとしてキャリアをスタートしていたことはあまり知られていません。
5. オーストラリアで人気のお笑い番組は「Have you been paying attention? / ハブ ユー ビーン ペイイング アテンション?」
最も人気あるコメディゲーム番組として権威あるテレビ賞を受賞した、「Have you been paying attention? / ハブ ユー ビーン ペイイング アテンション?」はその前週の国内外の時事ニュースについて、パネリストがユーモアを交えながら回答していくクイズ番組です。「ちゃんと見てた?」というタイトルの通り、政治家のスピーチの一部からセレブの着ていた服のデザインなどニッチすぎる問題は意外に難しく、なかなか勉強になります。2013年のスタートと比較的新しい番組ですが、徐々に人気を得て2017年から名実共にテレビ界を代表するクイズ番組になりました。
6. オーストラリア人の好きなお笑いテイストを知るなら「Kath & Kim / キャス&キム」
オーストラリア人の自虐好きを知りたいなら、オススメはなんといっても「Kath & Kim / キャス&キム」というシットコムでしょう。
メインキャラクター2人を演じるJane Turner(ジェーン ターナー)とGina Riley(ジーナ ライリー)の脚本で2002年から2007年までオンエアされ、オーストラリア郊外に住む母キャスとその娘キムが繰り広げる普通のオーストラリア人の日常を自虐的に描いて大人気に。主人公達の住む家や服、車などの絶妙なダサさ、強烈なオージー訛りの英語がリアルすぎて「痛くて見ていられない」オージーも出るほどになり、イギリスにも進出、アメリカではリメイクまでされました。
キムの友人役に人気コメディアンのマグダ ズバンスキー、また、エリック バナやカイリー ミノーグ、マイケル ブーブレ、ジェフリー ラッシュなどもカメオ出演しています。普通のオーストラリア人の普通の暮らしを知りたいなら、要チェックです。
まとめ
いかがでしたか?
いかにも能天気そうなオーストラリア人ですが、実は自虐的でコンプレックスを抱えているのは意外ではないでしょうか?その国の本当の人となりを知ることができるのがお笑いのいいところですよね。オーストラリアのことをもっと知りたいなら、ぜひオーストラリアのお笑いをチェックしてみてくださいね。
オーストラリアのお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ事情!
1. オーストラリアのお笑い芸人は1人が基本
2. オーストラリアのお笑い文化は自虐的
3. オーストラリアのお笑い芸人は30代以上がメイン
4. オーストラリアの人気お笑い芸人にあの人も!?
5. オーストラリアで人気のお笑い番組は「Have you been paying attention? / ハブ ユー ビーン ペイイング アテンション?」
6. オーストラリア人の好きなお笑いテイストを知るなら「Kath & Kim / キャス&キム」