オーストラリアは夏のイメージが強いので、花粉症と聞いてもピンとこないかもしれませんが、実はアレルギー持ちの多いオーストラリア人にとって、花粉症もその例外ではないのです。そこで今回は、現地在住の筆者の視点から、オーストラリアにおける花粉症などのアレルギーについて6つのポイントからご紹介します。
オーストラリアで花粉症は?オーストラリア人の6つのアレルギー事情!
1. オーストラリア人の18%が花粉症
オーストラリアでは花粉症はhay feverと呼ばれ、このhayとは乾草のことですが、実際のアレルギー源は日本と同じように花粉由来が多く、オーストラリア人の約18%が花粉症をもっていると言われています。さらに花粉症と喘息は強い関係があり、喘息がある人の80%は花粉症ももっていると言われ、ひどい場合は花粉を吸い込むと喘息の発作を起こす人もいます。
また、花粉症患者が多い州は首都キャンベラのある州、シドニーのあるニューサウスウェールズ州を始めとした中南部に集中しており、ゴールドコーストのあるクイーンズランド州は最も患者数が少ないと言われています。
2. 花粉症シーズンは一年中
オーストラリアでは木からの花粉が冬から春にかけて始まるのに続いて草からの花粉が春から翌年の冬まで飛ぶと言われており、エリアにもよりますが一年中花粉は飛んでいます。オーストラリア原生のマツは7~8月、ナラ、カシなどは一年を通じて花粉を飛ばしますが、やはり症状が悪化するのは9月の春から夏にかけてが多くなります。
またオーストラリア原生の草木よりも外来種からの花粉の方が強力で、シャゼンムラサキ、ブタクサ、シマニシキソウなどいずれも海外から持ち込まれた種が今や猛威を振るっています。なお、大気中に飛んでいる最も一般的な花粉は、イネ科のドクムギ、ギョウギシバです。
3. 実はチリダニが花粉症の原因No.1
日本では草木からの花粉が一番の原因になる花粉症ですが、最近の調査で実はオーストラリアで花粉症を最も引き起こす原因はチリダニだと分かっています。チリダニは常に人の周りにいるため、チリダニに反応してしまう人は一年中、花粉症の症状に悩まされてしまうことになります。そこへ花粉の時期が重なれば、そのつらさは想像するだけでもきついですよね。
4. ケア方法は症状の重さ別
喘息と深い関係がある花粉症だけにケア方法は様々で、症状が重いなら喘息と同様に抗ヒスタミン剤や処方箋が必要な吸入ステロイド剤、軽い場合は市販のステロイド入り鼻スプレーが一般的な予防方法です。薬に頼るのが嫌いなオージーは殺菌効果の高いユーカリオイル、ティーツリーオイルを少量たらしたお湯の湯気を吸引したり、こまめな塩うがいでしのぐ人も。
その日の花粉の発生量をチェックできるウェブサイトもありますが、マスクやメガネをしている人はほとんどみかけないのは、細かいことを気にしないオージー流?なおこの時期の必需品、ポケットティッシュはオーストラリアの市販品は非常にクオリティが低くかたくてゴワゴワしているので、日本からティッシュを持ってくるか、値段は高いですが日系スーパーなどで買うのがお薦めですよ。また、アレルギーテストの血液検査や皮膚パッチテストを受ける人も年々増えており、検査の予約を取るのはかなり難しくなっています。
5. 恐ろしい雷雨喘息に要注意!
またオーストラリアでは最近、雷雨喘息という、花粉の大量発生と雷雨が重なって起きる特殊なケースの喘息によって数名の死者が出てしまう痛ましい事故がありました。雷雨によって非常に細かく割れた花粉が気管や肺まで達して呼吸困難を引き起こす喘息で、喘息、花粉症持ちの人はもちろん、それまで呼吸系の病気がない人まで重症者が出た珍しいケースでした。
このように事故にまでなるのはまれですが、もしオーストラリアで雷雨に遭ったら、念のためすぐ屋内に避難する、部屋の窓を閉める、フィルター付きエアコンをつける、シャワーを浴びて体の花粉を落とす、もしあればステロイド剤を吸入するなどこまめな対策を取るのがお薦めです。
6. 実は進んでいるオーストラリアのアレルギー対策
ピーナッツ、牛乳、卵など、オーストラリアでも一般的なアレルギー源は日本と同じです。アレルギーに対する意識が非常に高いので、市販の食品にはアレルギー成分表示があり、学校はナッツ入りの製品の持ち込み禁止が当たり前で、学食やレストランでも乳製品フリー、グルテンフリーオプションなどから普通に選べます。また、レストランに行く時はアレルギーのことを伝えておくと、代用品などで柔軟に対応してくれるので気軽に聞いてみてくださいね。スーパーマーケットではこうしたアレルゲンに配慮したオーガニック製品も簡単に手に入るので、アレルギー持ちの人でも安心してお買い物ができますよ。
まとめ
いかがでしたか?
オーストラリアは実は一年中花粉が飛んでいるという花粉症持ちには大変な場所で、飛んでいる花粉も日本と違うので、オーストラリアに来て初めて花粉症になったという人もいるほど。日本からの常備薬が効かない場合もあるので、心配なら一度、オーストラリアの薬局で相談してみるのがお薦めですよ。
オーストラリアで花粉症は?オーストラリア人の6つのアレルギー事情!
1. オーストラリア人の18%が花粉症
2. 花粉症シーズンは一年中
3. 実はチリダニが花粉症の原因No.1
4. ケア方法は症状の重さ別
5. 恐ろしい雷雨喘息に要注意!
6. 実は進んでいるオーストラリアのアレルギー対策