「ビールとチョコレートの国を愛するのは簡単だ」これは、オバマ元大統領がベルギーを訪問した際の言葉ですが、その言葉通りベルギーのチョコレートとビールは世界中で愛されています。
日本でもベルギーチョコレートが売られていますが、ベルギーという冠がついていると高級感があるように感じられ、まるでベルギーチョコレートという名前そのものがブランド化しているようです。
今回は、現地在住の筆者が、そんなベルギーチョコレートが世界で人気な8つの理由をご紹介します。
ベルギーチョコレートが世界で人気な8つの理由
1. ベルキーチョコレートの事の始まり
チョコレートの原料であるカカオの木は、紀元前2000年頃から中央アメリカ、メキシコ南部で栽培されていました。その当時、カカオは主として、つぶして水に溶かし、薬用や強壮用として飲用されていました。
近世ヨーロッパの時代にスペインの探検家がカカオの種子を持ち帰り、宮廷に新しい飲み物として広め、ベルギーは17世紀にスペインに支配されたため、そのときにチョコレートが伝わったと言われています。
そして、1885年、ベルギー国王レオポルド二世がコンゴを個人の財産で購入し植民地化。その後、カカオのプランテーションが一気に進められたという経緯があります。
残念ながら、ベルギーチョコレートの歴史はその全てが甘いわけではありません。しかし、そういった歴史の下、チョコレート産業は大きく花開くことになります。
2. ベルギーチョコレートが起こした革命“プラリネ”と“バロタン”
「Praline / プラリネ」と呼ばれる小粒で中に詰め物をしたチョコは見た目がまるで宝石のようでもあり、世界中で愛されています。
そんなプラリネですが、実はベルギーが発祥の地で、20世紀前半に初めて作られました。プラリネの誕生によって様々な工夫を凝らすことができるようになり、チョレート製造の発展に大きく貢献することとなりました。
その生みの親がチョコレートの老舗ブランド「Neuhaus / ノイハウス」の3代目を継いだジャンでした。更に3年後、今度はジャンの妻が繊細なプラリネを運ぶための小箱「Ballotin / バロタン」を発明しました。
プラリネとバロタンは既存のチョコレートの製法や包装の仕方に大きな影響を与え、ともに世界中へ広まりました。
3. ベルギーチョコレートの特徴は多様な種類
実際にチョコレートショップを訪れると感じることですが、選ぶのが大変なぐらい多くのチョコレートが並んでおり、スクエア、貝殻、ハート、花、ダイヤモンドなど多種多様な形があります。また、その一つ一つが全く違う風味をしており、形と味は何百種類にも及ぶと言われています。
ダークチョコレートにベルガモットやサフランなどのフレーバーを取り入れたもの、金柑とビターチョコなど、どうしてその組み合わせを思いついたのだろうと思うような革新的なチョコレートもあります。
また、イースター、クリスマスなどイベントごとの限定のチョコもあり、生活と密接に結び付いています。
4. 至高のチョコレートの理由は、品質への強いこだわり
その昔、EECでチョコレートの定義について論争になったことがありました。
「カカオ以外の油脂が入っていてもチョコレートである」というイギリスを始めとするアイルランド、オーストリア、デンマーク等に対し、ベルギーやオランダ等は「カカオ100%でなければチョコレートではない」と主張していました。
結果として規制緩和がなされ、代用油脂を5%以下使用したものについてもチョコレートだと定義されました。しかし、現在に至るまでベルギーは頑なにカカオ以外の植物油を使用せず、カカオバター100%を固持し続けています。そういった高い品質へのこだわりも世界中でベルギーチョコレートが愛されている所以かもしれません。
なお、そういったおいしさへのこだわりから、保存料が使用されていないチョコも多く、賞味期限には注意する必要があります。
5. 人気のベルギーチョコレートはゴディバとレオニダス
チョコレート大国ベルギーでは、数多くの有名店があります。先ほどご紹介したノイハウスもそうですが、ゴディバ、ガレー、ヴィタメール、ピエール・マルコリーニ、レオニダスなど、どれもベルギーが拠点のショコラティエです。
そんな多くの有名店の中でも、「National Geographic」のThe 10 Best Chocolatiers in the Worldでは、ゴディバがランクインしています。高級チョコレートの代名詞であるゴディバは、やはり世界中で愛されているようです。
一方で、地元ベルギーのインターネット投票の1位はレオニダス。高品質でありながらも、比較的安価で気軽に買うことができるため、地元民に愛されているようです。
6. 日本未進出のチョコレート
上記に挙げたチョコレートは日本国内でも買うことができますが、ベルギーでしか食べられないチョコをご所望のあなたには、とっておきのお店をご紹介します。
▼Mary(日本名: Madame Delluc)
創業は1919年の老舗。初代のマリー・ドリュック夫人のレシピを受け継いだチョコレートを提供し続けています。1942年に王室御用達の認定を受け、国王、皇太子の名を冠したチョコレートがあります。N.Y.タイムス発刊「死ぬまでに行きたい1000の場所」にチョコレート店として世界で唯一選ばれています。パッケージがとてもかわいらしいので、お土産におすすめです。
▼Jean-Philippe Darcis
ジャン=フィリップ・ダルシーが25歳で独立したブランド。彼は世界的なチョコレートのコンクールで多くの栄冠に輝き、2010年上海万博ではベルギー館を任されたこともある実力者で、次世代のベルギーチョコレート界を牽引する人物です。
花や紅茶など珍しいフレーバーのガナッシュ、シャンパンを使ったマカロンもおすすめですが、何よりもおすすめなのは、舌の上で雪のようにとろけるトリュフ・シャンパーニュ。ブリュッセル店には日本語を話せるスタッフがいるので、気軽に立ち寄ってみましょう。
なお、ベルギーに訪れた際のおすすめお土産を以下で特集していますので、こちらお合わせて読んでみてください。
7. チョコレートの首都「ブルージュ」
ブリュッセルから電車で1時間、世界遺産であるブルージュの街並みは絵本のように美しく、中世の雰囲気を残しています。そして、そんなブルージュには50軒以上のチョコレートショップが並んでいます。チョコレート博物館まであり、まさにチョコレートの首都と呼ぶにふさわしい町です。
ブルージュで日本人に人気なのは、DUMONというチョコレートショップ。家族経営のフレンドリーなお店で、価格帯はかなり控えめです。砂糖を全く使っていないというステビアチョコレートは口溶けがよく、上品な甘みです。
ブリュッセルから日帰りでも行ける距離ですが、とても美しい街並みなので、1〜2泊するのがおすすめです。ベルギーを快適に移動する方法は以下にまとめていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
8. 夢のコラボレーション、チョコレートビール
チョコレート大国であると同時にビール大国でもあるベルギーには、夢のコラボレーションがあります。それはフローリスチョコレートというビールです。原材料にチョコレートがしっかり入っているため、その香りはまさしくチョコレートですが、実際に飲んでみると、そこまでは甘くないようです。
その味の評価は両極端に分かれるそうですが、少し冒険してみたいあなたにおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
毎年40億ユーロもの売上を誇る世界最大のチョコレート産業国であるベルギー、その歴史から人気店までご紹介しましたが、そのおいしさはぜひあなた自身の舌で実際に味わってみてくださいね。
ベルギーチョコレートが世界で人気な8つの理由
1. ベルキーチョコレートの事の始まり
2. ベルギーチョコレートが起こした革命“プラリネ”と“バロタン”
3. ベルギーチョコレートの特徴は多様な種類
4. 至高のチョコレートの理由は、品質への強いこだわり
5. 人気のベルギーチョコレートはゴディバとレオニダス
6. 日本未進出のチョコレート
7. チョコレートの首都「ブルージュ」
8. 夢のコラボレーション、チョコレートビール