フランスのお笑いは、日本のお笑いとは全然違います。フランスの芸人たちは、日本の芸人のようにコンビやグループで活動している人がほとんどいません。フランス芸人はひとりでお笑いをしている人ばかりで、トーク力が命です。そのため、自分の容姿をもネタにしてお笑いをしている人は存在しません。
今回は、フランスのお笑いやフランス芸人たちについて、日本とどのように違うのかをご紹介しましょう。
フランスのお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ情報!
1. フランスにもお笑いは存在する!
フランスにも日本と同じように、お笑いがあります。お笑いが好きなフランス人もたくさんいますし、特定のフランスのお笑い芸人が好きな人も多くいます。
フランスのお笑いは、フランス語がよくわからない人にはまったくと言っていいほど楽しめるものではないと思います。体や物を使って笑いをとることが一切なく、すべてはフランス芸人たちのトーク力のみで、フランスのお笑いが成り立っているからです。
また、フランスではお笑い芸人といっても、職業的地位は高くはありません。爆発的人気を誇るお笑い芸人であれば、知名度もあるのでそれなりの稼ぎはありますが、地域のクリスマス会や会社のパーティーの余興として呼ばれる程度では賃金も低く、社会的地位もほとんどないと言っても過言ではないでしょう。
日本のお笑い番組で人気の高い、ドッキリカメラのような番組は「カメラ カシェ」といって、フランス芸人が出演しているのではなく一般の人ばかりです。子どもや動物、その他などに区分されているのですが不愉快な驚かせ方ではなく「うっかり」や「爽やかなビックリ」のものが多いです。ほとんどがYouTubeからの一般投稿で成り立っています。
なお、フランスのテレビ事情については以下の記事で詳しく説明していますので、合わせて読んでみてください。
2. フランスのお笑いと日本のお笑いの違い
フランスのお笑いは、ハッキリ言って「風刺文化」です。とにかく他人をディスりまくって笑いをとるのがフランスのお笑いです。日本のお笑いではモノマネをしたりして笑いをとることがありますが、フランスのお笑いでのモノマネは完全に他人をバカにしたり揶揄して笑いをとっています。その風刺に値する対象者は、政治家からベテラン先輩のお笑い芸人までと幅広いのが特徴です。
フランスのお笑いに絶対にないのが、日本のお笑いのように相方の芸人をいきなりスリッパなどで叩くと言うような暴力的シーンです。相方の芸人を付き飛ばしたりすることもありません。もし言葉が分からなかったとしても、映像だけで楽しめる日本のお笑いも多くありますが、フランスのお笑いにはないので日本のお笑いがフランスでウケるということはありません。
逆にフランスのお笑いを見ていると、日本人感覚からするとつまらなく感じるかもしれません。トーク力だけで勝負していることもありますが、とにかく風刺がバッチリ効いた毒舌全開のお笑いがほとんどなので、他人の悪口や批判がキライな人には、これの何が面白いのか?と不満に思うことも少なくないでしょう。
3. フランスのお笑い芸人はどんな感じの人なのか
フランスのお笑い芸人はどんな感じの人なのかというと、一言でいうと「賢い」感じです。さすがに政治や時事ネタを風刺しているだけのことがあって様々な知識と面白さ、人を自分のトークに引き付けるだけのパワーを持っている人ばかりです。そして、だれかとお笑いに関してコンビを組まなくても、自分ひとりで勝負出来る人ばかりです。
また、日本のお笑い芸人のように、若いフランス芸人がほとんどいないのも特徴です。フランス芸人の年齢層は、一般的には中年世代から上の年齢の人ばかりです。あまり若いと、他人を風刺することは出来ても政治家や時事ネタには知識が豊富ではないのかもしれません。
そして自分の容姿をお笑いに追加する人も居なく、どのフランス芸人もそこら辺にいるような普段着の人ばかりです。しかしながら、フランス芸人の他人への観察眼と政治や時事ネタに関する情報収集と知識力は半端ではありません。ものすごく色々なことを勉強しているフランス芸人ばっかりなんですよ。日本のように一発屋と呼ばれるようなお笑い芸人は存在しないんです。
4. お笑いの本やグッズが売られている
フランスではどこの書店は本売り場などで、有名人や政治家を風刺した毒舌の効いたお笑い本が売られています。随分と前になりますがフランス大統領選挙が開催されている時、前サルコジ大統領と大統領の座を争った女性、セゴレーヌ・ロワイヤルの毒舌三昧のお笑い本と風刺画に加えて「呪いの人形」が販売されていたこともあります。
これは呪いをかける釘もセットで販売されていたと記憶していますが、これを見た当人は、時事ネタとして笑い飛ばしていたぐらいです。今頃は、色々な政治家の風刺画&お笑い本が売られていて、アメリカ大統領のドナルド・トランプやオーランド前大統領、マリー・ルペンなど様々な人物たちが風刺笑いの対象になっています。
5. フランスで人気があるお笑い芸人
フランスで人気の高いお笑い芸人といえば、女性ならば「Florence Foresti / フローレンス・フォレスティ」。彼女は実際の人物を真似していて、ものすごい毒舌でからかって笑いをとっています。日常生活において身近に存在する人など、自分もあるある!わかる!って共感しながら笑えるのが人気の秘訣になっています。
実は彼女、筆者の子どもが通っていた幼稚園の先生にソックリさんで、幼稚園に送迎するママさん達をネタに笑いをとっているのを見ると親近感が沸いてしまいます。そしてフランスではお笑い芸人に圧倒的に女性が少ないのも特徴的なんですよ。
男性で人気のあるお笑い芸人といえば「Gad Elmaleh / ガッド・エルマレ」。彼はお笑い芸人というわけではなく、数々の映画にも出演している俳優さんなんです。フランス語も英語もアラブ語も流暢に話すことが出来て、フランス以外の国でもコメディアンとして活躍しています。更に数々の映画に出演しているお笑い芸人のフランク・デュボスクも大人気です。このフランス芸人は、ひとりでワンマンショーをやっても面白い上に、映画などの役柄でもめちゃくちゃ楽しいキャラクタ―をしているので人気があります。筆者もこの人が出ているなら!と思って見ることが多くあります。
また、現在はもうなくなってしまっていますがルイ・ド・フュネス。1960年から1970年のフランス喜劇には絶対に欠かすことのできなかった俳優さんなんです。彼の出ている映画は、現在もフランスで頻繁に放送されていますが、ストレス解消になるような楽しい映画ばっかりです。
6. フランス人が好んで見るお笑い番組
フランスには、ちょうど仕事が終わって家に帰って来てから、ひと息つこうかというような時間帯や夕飯時から夕飯後のくつろぎタイムごろに短いコメディー番組が放送されています。その名も「カメラ・カフェ」といって、会社の休憩所に設置してあるコーヒーマシーンの中から、会社で働く社員たちのおしゃべりや愚痴などが映し出されています。もちろん一般の会社でなく、撮影用セットですが短いコントなので気軽に見ることができるお笑い番組です。
他にも、「カームロット」という笑えるショートコメディ―があります。どうにも役に立たない円卓の騎士たちと、アーサー王のお話ですが出てくるフランス語が酷い!下品な言葉を公的に使いまくるので、そう言ったフランス語の類いやお笑いが好きな人にはうってつけのお笑い番組です。お笑い番組なので、王妃といえども普通に美しくないとか、こう言った場面にそぐわしくない美しくない女性軍団とか見ているだけでも面白いですが、言葉が分かった方が120%楽しめます。
家族もののお笑いが好きな人には「アン・ファミーユ」という短いお笑い番組が人気です。色んな家族が出てくるのと、可愛い犬が人気の秘訣です。深く考えずに見て楽しむことができます。
まとめ
いかがでしたか?
フランスの人気のお笑い番組や、フランスで人気のお笑い芸人とともに、日本とフランスでのお笑いの違いなどについても詳しく知ることができたのではないでしょうか。フランスのお笑いに興味がある人は、今回ご紹介したフランス芸人やお笑い番組をぜひ見てくださいね。気になる人はまずYouTubeなどで無料でチェックすることから触れてみてもいいかもしれませんね。
フランスのお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ情報!
1. フランスにもお笑いは存在する!
2. フランスのお笑いと日本のお笑いの違い
3. フランスのお笑い芸人はどんな感じの人なのか
4. お笑いの本やグッズが売られている
5. フランスで人気があるお笑い芸人
6. フランス人が好んで見るお笑い番組