ビジネスシーンや相手に敬意を払う際に使用される敬語。尊敬語や謙譲語など多々あり、私達日本人でもその使い分けが難しい時がありますよね。ではドイツ語にも敬語はあるのでしょうか。
実はドイツ語には日本のようなはっきりと区分けされた敬語表現はありませんが、相手との関係や距離間により相手に対して敬意を表す敬語表現があるんです。今回は、ドイツでは誰に対してどのように敬語を使うのか、その基本ルールをご紹介します。
ドイツ語の敬語!場面に合わせて使い分ける8つの文法ルール!
1. ドイツにも敬語はあるの?
英語では2人称の場合どんな相手に対しても「YOU」を使い、日本語のように言葉による敬語の使い分けはありませんね。ドイツ語にもはっきりとした日本語のような尊敬語や謙譲語に該当する表現はありません。しかしビジネスシーンで使われたり、初対面の人や大学の教授など目上の相手に対して敬意を示すドイツ語は存在します。
最初はその違いや使う際のルールにとまどうこともありますが、お店で何かをたずねる時など日常生活でも常に必要となりますのでドイツ語の敬語表現はぜひ覚えて下さいね。
なお、ドイツ語のよく使われる挨拶フレーズは以下で詳しく紹介していますので、こちらも合わせて読んでみてください。
2. あなたを表すドイツ語にはどんなものがあるの?
ドイツ語であなたを表す二人称の表現は「Sie」と「du」の2つです。その中でも「Sie」は敬意を表し丁寧な表現、「du」はくだけた表現です。
以前は家族や親しい友人を除き全て大人に対しては「Sie」の表現を使っていたそうですが、今日ではその境界もあいまいになってきています。この「Sie」と「du」を上手く使い分けるのが、ドイツ語敬語のルールですよ!
3. ドイツ語の敬語、「Sie」を使う詳しいシチュエーションは?
ドイツ語の敬語に該当する、相手に敬意を表す「Sie」は具体的に下記のような組み合わせで使うのが一般的なルールです。
1.お店のスタッフやレストランのスタッフと客
2.道を聞かれた人と聞く人
3.学校の先生と生徒(16歳以上)
4.医者と患者
5.会社の部下と上司または同僚
6.初対面同士
しかし注意が必要なのは5~6に関しては、後で「du」を使う関係になることもあります。例えば会社の上司と部下という関係であったり、初対面でもだんだんと仲良くなると逆に「Sie」を使って話すのはよそよそしく感じる人も。
もし相手から「Wir duzen uns / ヴィア ドゥツェン ウンス」と言われたら「du」で話しましょうということですよ!
なお、ドイツでのビジネスシーンでよく使うフレーズを以下にまとめました。こちらもぜひ一読してみてください。
4. では「du」を使う詳しいシチュエーションは?
敬語なしの親しい間柄で使われる「du」。具体的には下記のような間柄で使われます。
1.両親と子供または兄弟間
2.友人同士
3.小さい子供に対して(12歳くらいまでの子供)
4.小学校の先生が生徒に対して
5.「du」を使いましょうと提案された場合
「du」はあくまでも近い距離間の間柄で使われますので、ファーストネームで呼びあえるようになったらぜひ「du」フォームを使ってドイツ人と会話をしてみて下さいね。
なお、友達や家族を励ますときに使えるフレーズを以下にまとめました。もし近い関係の人が落ち込んでいたらこれらのフレーズを使って元気付けてあげてください。
5. 「Sie」や「du」はどのように使うの?
ドイツ語の動詞は「Ich(私)」や「du(あなた)」、「er(彼)」など人称により動詞が変化します。そのためドイツ語の敬語表現で「Sie」と「du」を使い分けるにはそれぞれの動詞の変化も覚える必要があります。
ドイツ語の動詞の基本形はほぼ全て終わりが「~en」の形をしており、「Sie」ではこの基本形を使います。
例:
働く→arbeiten / 来る→kommen
ところが「du」ではこの動詞の終わりが変化します。
例:
働く→arbeitest / 来る→kommst
例えば初対面の人に「あなたは今日時間がありますか?」というのを丁寧に聞く場合は「Sie」を使い「Haben Sie heute Zeit? / ハーベン ズィー ホイテ ツァイト」となりますが、親しい友人に聞く場合は「du」を使い「Hast du heute Zeit? / ハスト ドゥー ホイテ ツァイト」となります。
このように人称により動詞が変化するので、ドイツ語初心者には覚えることが多く大変ですが、ありがたいことに「Sie」で使われる動詞は全て原型ですので最初に覚えることができると思いますよ!
6. ドイツにも日本の「様」や「さん」など敬称に違いはあるの?
ドイツ語にも相手の名前を呼ぶ際に、英語の「ミスター」や「ミス」のような丁寧な表現があります。男性なら「Herr / ヘア」、女性は「Frau / フラウ」です。この敬称に苗字をつけて呼ぶのが一般的なルールです。
しかし敬語を使わない親しい間柄では名前で呼び合うのが一般的。ただ、そうはいっても筆者にとって何十歳も年上の人を名前で呼ぶことは、ドイツに住んで10年以上経った今でも、いまだに慣れないドイツの習慣の一つです。
7. ドイツ語で手紙やメールを書く際にも敬語表現はあるの?
日本でも敬語で丁寧な手紙やメールを書く際には「拝啓」から始まり「敬具」で終わるなどのルールがありますよね。実はドイツ語にもオフィシャル的な手紙を書く際のルールがあります。
1.フォーマルな敬称
女性→Sehr geehrte Frau ○○
男性→Sehr geehrter Herr ○○
不特定多数→Sehr geehrte Damen und Herren,
2.近しい間柄の敬称
女性→Liebe ○○(名前)
男性→lieber ○○
また締めの言葉もフォーマルとそれ以外で決まりがあります。
1.フォーマルな締めの挨拶
→Mit freundlichen Grüßen
2.親しい間柄の締めのことば
→Viele Grüße/ Alles Gute
ドイツでは家の解約をしたり、大事なことは書面でやり取りをすることがほとんどです。特にインターネットや電話、家の解約などは決まったフォームの用紙がないことも多く、自分で手紙を書いて送ることもよくあります。オフィシャルな手紙の書き方はぜひ覚えて下さいね!
なお、ドイツ語でメールや手紙を書くときに使える言い回しを以下にまとめていますので、こちらも合わせてチェックしてみてください。
8. 「Sie」と「du」の使い分けに迷ったらどうするの?
このドイツ語の「Sie」と「du」の使い分けルールはとても難しく、ドイツ人でも迷うことがあるそうです。
基本的にレストランや仕事では「Sie」を使うのが一般的ですが、中にはいきなり「du」でメールを送られたり話しかけられることも。これは相手がもっと親しくなりたいという考えからきている場合も。
また、例えばレストランなどでもビールを注文する際に「Bringst du mir ein Beer / ブリングスト ドゥー ミア アイン ビア」と給仕してくれる人に親しみをこめて注文することもありますが、「Bringen Sie mir ein Beer / ブリンゲン ズィー ミア アイン ビア」と丁寧な言い方の方がスマートに聞こえると思います。最終的にどちらを使ったらいいか迷ったら「Sie」を使うのが無難ですよ!
なお、レストランなどで使えるドイツ語フレーズは以下で特集していますので、こちらもチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
慣れるまでは使い分けが難しいかもしれませんが、相手との距離感により使い分けるドイツ語の敬語の方が日本語の敬語よりシンプルではないかと思います。
もちろん「Sie」を使っていれば相手に不愉快な思いをさせることもなく安心かもしれませんが、どうせなら「du」で話せる相手がどんどん増えるとドイツ語ももっと楽しくなると思いますよ!
ドイツ語の敬語!場面に合わせて使い分ける8つの文法ルール!
1. ドイツにも敬語はあるの?
2. あなたを表すドイツ語にはどんなものがあるの?
3. ドイツ語の敬語、「Sie」を使う詳しいシチュエーションは?
4. では「du」を使う詳しいシチュエーションは?
5. 「Sie」や「du」はどのように使うの?
6. ドイツにも日本の「様」や「さん」など敬称に違いはあるの?
7. ドイツ語で手紙やメールを書く際にも敬語表現はあるの?
8. 「Sie」と「du」の使い分けに迷ったらどうするの?