ドイツ人の名前には、どんなものがあるのでしょうか。実を言うと、「ドイツ人の名前」としてひとくくりにして表現するのはとても難しいものです。ドイツでは移民も多く、ドイツ国籍を持ってドイツ人として生まれ育っていても、名前は先祖のルーツである国のものを引き継いでいることが多いからです。
ただ、そんな様々なルーツによって成り立っている国であるからこそ、名前の傾向も個性的なものになっています。そこで今回は、現地在住の筆者が、ドイツ人の名前について詳しくご紹介します。
ドイツ人の名前について7つのポイントでまとめてみた!
1. ドイツ人によくある名前とは?2016年赤ちゃん命名ランキングベスト10<女の子編>
ドイツ人の名前も、日本人の名前と同じように流行があるようです。「よくある」というのも、「“ある一つの時代の中で“よくある(あった)名前」と言えそうです。そういう部分は、日本とも共通しますね。まずは2016年の女の子の名前ランキングから見てみましょう。
1位:Mia(ミア)
2位:Emma(エマ)
3位:Sofia / Sophia(ソフィア)
4位:Hannah / Hanna(ハンナ)
5位:Emilia(エミリア)
6位:Anna(アンナ)
7位:Marie(マリー)
8位:Mila(ミラ)
9位:Lina(リナ)
10位:Lea/Leah(レア)短くて、柔らかい感じの名前が多いですね。親しみやすく、女らしい名前が人気のようです。「アンナ」「リナ」などは、日本人の女の子の名前でもありますね。
2. 2016年赤ちゃん命名ランキングベスト10<男の子編>
次は男の子編です。
1位:Ben(ベン)
2位:Paul(パウル)
3位:Jonas(ヨナス)
4位:Elias(エリアス)
5位:Leon(レオン)
6位:Finn / Fynn(フィン)
7位:Noah(ノア)
8位:Luis / Louis(ルイス)
9位:Lukas / Lucas(ルーカス)
10位:Felix(フェリックス)男の子の名前も短めのものが流行っているようです。そして、英語の名前からの影響が強いようです。
3. 男の子の名前、女の子の名前
日本語の名前は漢字、ひらがな、カタカナを組み合わせて、人名漢字の範囲であれば自由に命名することができ、男女共通して使用できる名前もありますが、ドイツではそうはいかないようです。
名前を見て、男か女かわからない、ということはないそうです。とはいえ、先述したように様々なルーツの名前があるので、一見しただけでは性別がわからないものもあるのですが、少なくとも上記ランキングトップ10のものは、すぐに男女の区別がつくものばかりです。
4. 伝統的な名前とは?
聖書に出てくる、キリスト教にまつわる聖人の名前、というのがその代表的な例でしょう。ポピュラーな聖書由来の名前のリストとして、次のようなものを見つけました。
Anna / Anne(アンナ / アンネ)
Maria / Marie(マリア / マリー)
Sarah / Sara(サラ)
Lena / Magdalena(レーナ / マグダレーナ)
Hanna / Hannah(ハンナ)
Lea / Leah(レア)
Elisabeth(エリザベス)
Johanna (als weibliche Form von Johannes)(ヨハンナ、ヨハネスの女性形として)
Lukas / Lucas / Luca(ルーカス / ルカ)
Paul(パウル)
Elias(エリアス)
David(ダヴィッド)
Jonas(ヨナス)
Daniel(ダニエル)
Jan (als Kurzform von Johannes)(ヤン、ヨハネスの短縮形として)こうしてみると、多くの名前が最新の命名トップランキングと重なっていることがわかります。日本の名前と異なり、字面での違いはほとんどありませんから(Lukas / Lucasのように、KかCまたはChのような違いは多くみられます)どう聞こえるか、ということが大事なのかと思います。
聖書由来の伝統的な名前でありつつも古臭く聞こえない、そんな名前が好まれているのかもしれません。
5. ニックネームの付け方
ドイツ語でニックネームは、Spitzname / シュピッツナーメと言います。名前の後ろに-chen / ヒェン、小さくて可愛らしいもの、という意味の語尾をつけて呼んだり(Paulchen / パウルヒェンなど)、名前の最後をiに変化させたもの(後述のトップ5リストにもいくつか見られます、最近ではMimiなどiを2回重ねるのが流行りのよう)をニックネームとすることが多いです。
自分からニックネームを名乗って、それが浸透していることもありますが、多くの場合は家族や恋人等のよほど親しい間柄や、子供への呼びかけで使われることが多い印象があります。人気ニックネームランキングも、男女共に5位までご紹介しましょう。
・男性のニックネーム
1位:Ari(アリ)
2位:Jay(ジェイ)
3位:Mo(モー)
4位:Jojo(ジョジョ)
5位:Leo(レオ)・女性のニックネーム
1位:Ina(イーナ)
2位:Mimi(ミミ)
3位:Nana(ナナ)
4位:Lia(リア)
5位:Nini(ニニ)
6. ドイツによくある苗字とは?
伝統的な職業が元になっている名前が多いです。ドイツ国内で多い苗字トップ10をご紹介しましょう。
1位:Müller(ミュラー、粉屋)
2位:Schmidt(シュミット、鍛冶屋)
3位:Schneider(シュナイダー、「切る」職業)
4位:Fischer(フィッシャー、漁師)
5位:Weber(ヴェーバー、織物師)
6位:Meyer(マイヤー)
7位:Wagner(ヴァーグナー、車大工)
8位:Becker(ベッカー、パン屋)
9位:Schulz(シュルツ)
10位:Hoffman(ホフマン)職業由来のものが本当に多いです。10位以下でも続々と職業系の名前が現れます。苗字を通じて、職業の名前も覚えられるというのがいいですね。ドイツ人と知り合ったら、「あなたの苗字はどういう意味?」と聞いてみるといいでしょう。
7. 流行りの名前について、ドイツ人はどう考えている?
日本で言うところのいわゆる「キラキラネーム」とまではいかないのかもしれませんが、英語由来の名前や、ちょっと変わった名前に対しては、表立って言うことはなくても少し批判的に考える人が多いように思います。もともと日本より命名に関して融通が利かないので、少しでも毛色が変わっているとより目立つのかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
ドイツでの名前事情についてお送りしました。伝統的な名前に、新しい名前や諸外国の言語をルーツに持つ名前が多種多様に混ざり合って、普段の生活では、時としてどの名前がいわゆる「ドイツ人の」名前なのかわからなくなってしまうほどです。名前の在り方を通しても、ドイツという国家を知ることができると言えるでしょう。
ドイツ人の名前について7つのポイントでまとめてみた!
1. ドイツ人によくある名前とは?2016年赤ちゃん命名ランキングベスト10<女の子編>
2. 2016年赤ちゃん命名ランキングベスト10<男の子編>
3. 男の子の名前、女の子の名前
4. 伝統的な名前とは?
5. ニックネームの付け方
6. ドイツによくある苗字とは?
7. 流行りの名前について、ドイツ人はどう考えている?