最近では国際結婚も珍しくなくなりフランス人と結婚する人も多くいます。筆者もフランス人と結婚し、現在フランスで家族一緒に生活していますが、外国人配偶者との結婚はフランス人に限らず様々な困難があり、地に足を付け相手を理解し、一つ一つ乗り越えていかなくてはならないと、常々感じています。
そこで今回は、フランス人との国際結婚で苦労する7つの要素をご紹介します。
フランス人と国際結婚するとき必ず苦労する7つの要素
1. 結婚に必要な書類や手続きの煩わしさ
フランスでは配偶者が外国人の場合には様々な書類が必要になります。日本と違って婚姻届け1枚だけで手軽に結婚出来る制度はありません。
日本から指定期限内の戸籍謄本や出生証明書などフランス人配偶者が居住する地域の市町村役場によって異なりますが、必ず何度も確認をして取り揃えなくてはなりません。日本とは違いフランスの役所は担当職員によって言う事が異なる場合が多くあります。
また日本からの必要書類は全てパリの日本大使館の法廷翻訳家に依頼してフランス語に翻訳して貰わねばなりません。大使館に問い合わせると「必ず翻訳して」と言われますが、日本の語学学校などに依頼してフランス語に翻訳して貰ったものでは使い物になりませんのでご注意ください。筆者も知らずに日本で翻訳して貰い多額のムダ金を使った事があります。パリの日本大使館での法廷翻訳は有料ですがこれ以外には法的に認められません。
また日本の外務省が発行する「アポスティーユ」と呼ばれる確認証明書が必須です。これがないと結婚出来ませんのでフランスへ来る前に必ず入手して来て下さい。必要書類はパリの在仏日本大使館のサイトの中に「領事情報」フランスでの婚姻手続が詳しく書かれていますのでご自身でご確認ください。アポスティーユに関しては日本の外務省のサイトに出ておりますので忘れずにご確認ください。
仮にご自身の戸籍謄本などを取り忘れても結婚式までに期限があればパリの日本大使館で取得出来たり、日本の家族や友人にお願いして送って貰う事も出来ますが、外務省発行のアポスティーユはハーグ条約締約国での国際結婚の際に必ず必要になる最重要書類です。
フランスは書類大国ですので全てにおいて色々な書類が必要になります。日本の様に迅速に対応と言う事が少ないので、結婚に必要な書類は必ず前もって全て取り揃えておく事をおすすめします。期限内に書類が揃わない場合には結婚出来ませんので要注意です。
2. 日本とフランスの習慣&文化の違い
渡仏前にインターネットや書物などでフランスの文化や習慣を学んでおく事をおすすめします。日本の常識はフランスの常識ではありません。またフランスではカトリックに基づいており、未だに家父長制度が存在しています。家の事や家計を夫が全て握っている家庭が多いです。
フランス人と結婚してよく揉めるのは「水の使い方」です。フランスでは食洗機のない家庭も多く基本は溜め洗い&溜め濯ぎをします。日本のように水をジャバジャバ使う事にフランス人は不快感を示し、喧嘩の原因トップランキングに入るほどですので注意しましょう。
同様に入浴に関しても日仏カップルの喧嘩は耐えません。なぜならば、フランス人は毎日入浴をする人が少なく、2〜3日に1回シャワーを浴びると言う人がほとんどです。浴槽はあっても実際に使う人は少なく、毎日お風呂に入る習慣のある日本人にしてみれば耐え難い事と思いますが、夫婦共働きでもない限りは毎日の入浴は不可能だと思いましょう。また衛生観念も日本人とは非常に異なりますので、その点も理解出来ると苦労しなくてすむかも知れません。
なお、日本と違いフランスでは専業主婦を「仕事の出来ない能無し」と考える人が多いです。仕事をしていないと「我が子に寄生する悪徳外国人」扱いをする配偶者家族も少なくありません。夫婦共働きが普通の国なので可能ならば仕事を見つけた方が無難です。
ただ、フランスは失業率が高く、高学歴のフランス人でさえ仕事がない場合もあり、実際には余程語学が堪能でない限り難しいかもしれません。
フランスでビザを取得する際の記事は以下になりますので、こちらも合わせて読んでみてください。
フランス人の習性としては個人主義なので結婚も本人が決めます。日本では結婚は家と家同士と言う考えがありますが、フランスでは自分で勝手に決めてしまう人も多くいます。
また、一般的に物事に対して我慢をしません。不満があれば考えなしにその場でぶちまけるのがフランス人です。それによって相手が不快に思おうが我関せず、日本人同士の「察する」と言う事は不可能ですので、理不尽な事で文句を言われた場合には遠慮せずにハッキリ言いましょう。
フランス人は自分の言葉に責任を持たず、言いたいことをその場の気分で喋る事が多いため、自分が言った事を覚えていない人も多いので適度にあしらうのも必要です。
フランス人の性格については以下に詳しく解説していますので、ぜひ一読ください。
3. 配偶者の配慮と理解
フランス人が日本人と結婚した場合に、相手を思いやる気持ちや海外生活がどれほど大変かと言う事を理解して貰わないと、なかなか上手くいきません。
家族の結束力の強いフランス人には、家族と離れて外国で外国人として暮らす上での苦労がわからずに自分の好き放題に振舞う人も少なくありません。自分の家族は大事だけれど、相手の家族は日本に居るし自分には関係ないと本気で考えているフランス人も多いのが実情です。
言葉の問題から自分の家族がフランスの義家族と話をする事もありませんし、日本のようにお歳暮やお中元のような贈り物をする習慣もありませんので、フランス人配偶者が日本の自分の家族と関わるのは、日本への帰省の時ぐらいです。
日本人はもてなす民族ですからフランス人配偶者が日本へ来た場合には、盛大にお客様扱いをして歓待する事と思いますが、フランスで配偶者の家族が同じ事をしてくれるかと言えば実際にはほとんどありません。
フランスでは「フランスに住んでるならフランス語が話せて当然」と言う考えの人が非常に多く、自国の文化や習慣に合わせて当然とも思っていますので、日本人であるあなたを尊重してくれる人はごく少数です。フランス生活にも慣れずに会話もままならない状態でも、家族の集まりがあれば当然ながら強制参加させられます。フランス人はとにかく言葉に出して言わなければ理解出来ませんので徹底的に話し合いましょう。
フランス語の簡単な挨拶は以下にまとめてありますので、こちらはぜひ押さえておいてください。
また体調が悪いなどの不調も言われなければ気にも留めないのがフランス人です。こんな事まで言われなくては理解出来ないのかと思う事が多々あると思います。そして言われた事をマメに覚えている事もありませんので、何回でも言葉にする事をおすすめします。
他人に冷たいのかと思う事も多々ありますが、実は興味が無いだけで相手が何を望んでいるかなど考える事もしません。先々の事や将来に関しての計画性がないのもフランス人です。
4. フランス人配偶者の経済力
あなたがフランスで仕事を持たない場合、フランス人配偶者だけのお給料では非常に質素な生活を送る事になります。質素と言っても生活が出来ない訳ではありませんが、海外生活にあこがれを抱いている場合には現実とかけ離れていて驚かれる事と思います。
中にはあなたの収入やご実家の財産を当てにしているフランス人配偶者もおりますので注意が必要です。フランス人は自分の給料を外国人配偶者に全額渡して家計を任せる事をしません。買い物に行っても何かの支払いでもフランス人配偶者が支払いをするのが現実です。
日本から自分のまとまったお金を持参される方も多いと思いますが、フランス人配偶者の口座に自分のお金を入れて保管するのは避けた方が無難です。必ず自分専用の口座を作り自分のお金は自分で管理しましょう。配偶者の口座に入れてしまうと使い込まれても取り返す事が出来ませんので要注意です。夫婦の共同口座を作ってそこに自分のお金を入れて管理する事も避けなくてはなりません。
フランス人はBACと呼ばれる高校卒業資格と大学入学資格を持っていなければ、どんなに働いていても賃金は非常に安く日本で思い描く様な新婚生活はなかなか送れません。なかには契約社員で職場を転々としている人も多いので、結婚前にはしっかりと確認をしておく事をおすすめします。
フランス人配偶者の給料が安ければ自分がパートにでも出ればと思う方もいるかも知れませんが、フランスでは日本の様なパートはなく言葉が自由自在に話せなければ、仕事もせいぜい掃除婦ぐらいの仕事しかありません。
5. フランスでの居住地
フランスに居住する場合、配偶者にきちんとした住居があるのか必ず確認しましょう。日仏カップルでよく見かけるのが「フランスへ来たばかりで何かと不便だろうし住居はゆっくり探すと良いよ」と、配偶者両親の勧めで義実家に同居をするパターンです。
元々フランス在住の配偶者と知り合った場合には一人暮らしをしていれば住居も家具も揃っていますが、日本在住で結婚を機にフランスへ戻る場合には住居などがなく、しばらくは配偶者の実家へ同居して仕事を探すフランス人も多く、トラブルの元になっています。特にワーキングホリデーなどで日本へ来てバイトの様な生活をして暮らしていたフランス人には要注意です。
お金もない&仕事もない場合には実家で同居を選択する人が多いのですが、通常はフランス人は成人年齢に達して自力で仕事をする様になるとほとんどの人が親元を離れて自活します。日本と違って同居の習慣などありませんのでいい年をして親元で同居しているフランス人であれば結婚は少々考え直した方が良いかも知れません。
また、住居の賃貸契約は必ずあなたと配偶者の共同名義で契約しましょう。住居証明の際に必ず必要になりますので公的機関の請求書や明細書の名義も共同名義にする事を忘れないで下さい。
6. フランス人男性はマザコン率高し
フランスの男性は日本の男性とは桁違いにマザコン率が高く、マザコンでないフランス人を探す方が苦労します。よく「デザートは別腹」と表現しますがフランス人男性にとってママは別腹的な存在です。
海外ドラマや映画などでは、良好なあっさりした関係の素敵な義母が出て来たりしますが、実際には「息子の家は私の家」状態でアポイントもなしに土足でズカズカやって来るのがフランス人姑です。そして家の中も自分の家の如く勝手に好き放題にいじくり回します。フランス人男性はママの言う事には文句なしに素直に聞くので、あなたとしては面白くないかも知れません。
また、義母からいろいろと言われますが、相手はフランス人ですので遠慮なく自分も言いたい放題に言い返しましょう。嫌なものは嫌、不要なものは不要だとハッキリ言わないと「息子の為を思って」行動するフランス人姑には全く伝わりませんので努力しましょう。
また、フランス人姑は物を捨てない人が多く、何世代にも渡って家具や衣服、食器などを使い回すのが普通です。それに対し不憫さや改善したい想いがあるものの、日本人特有の波風を立てない気遣いをし続けると、相手は気づかずエスカレートして、結果として激しいバトルになっている日本人嫁も多く存在します。
近年よく見かける国際結婚ブログなどは良い事しか書かれていませんので、あまり鵜呑みにしない方が良いかも知れません。
7. フランス人は愛がなくなると離婚
日本では家と家同士の結婚と考えるため離婚も慎重ですが、フランス人は例え子供が何人居ようと新婚だろうと「愛」がなくなったら速攻で離婚します。日本人は子供の為や親のためなど色々考えて結局は愛がなくても問題なく婚姻関係を続行出来ますが、フランス人には要注意です。
フランス人は人前でも公衆の面前でも義両親や家族の前でも平気でスキンシップをします。日本人的にはこんな所でベタベタしなくても良いのでは?と思いますがフランス人にとっては愛情確認で最重要事項です。
筆者の知っている日本人でも、愛がなくなったと言われ離婚した夫婦が男女問わず複数います。子供がいて離婚をしても日仏夫婦の場合には離婚後に2度と会わないという事がなく、共同親権なので定期的に連絡を取り合ったり会う必要があり義理の家族との関係も離婚後も無くなる事はありません。
また、ハーグ条約により子供を日本に連れ帰る場合には、元フランス人配偶者の許可が必要なため、日本への帰国は現実的には難しい事も理解しておきましょう。これは婚姻関係中も同様で、フランス人配偶者の許可なく子供の日本のパスポートを取得する事も不可能です。
なお、フランスの結婚式については以下に詳しくまとめていますので、こちらも読んでみてください。
【おまけ】:「パクス(PACS)」
フランスには、結婚と違い事実婚やパクス(PACS)と呼ばれる連帯市民協約が存在します。事実婚は法的に婚姻関係も結ばずに一緒に生活するだけですが、パクスは結婚よりも法的制約が少ないのですがパートナーとして税金などの優遇措置が受けられる制度です。婚姻とは違い、契約破棄の際に両者の同意は必要なく一方的に解約できる仕組みになっています。
また、パクスではパートナーの姓を名乗る事は出来ません。フランス人に「結婚」と言われたら、それは法的に定められている婚姻であるかどうか、しっかり確認しましょう。
またパクスの関係を選択した場合に、フランス人配偶者との間に子供が出来たら結婚出来ると勘違いする日本人女性も多いのでご注意ください。子供が出来たから結婚すると言う考えはフランス人にはありません。
まとめ
いかがでしたか?
今回はフランス人と国際結婚する際に何かと苦労する事が多い要素をご紹介させて頂きました。項目にはあげませんでしたが、あなたの語学力もフランスにおいて苦労する要素の1つです。日本で勉強しても実際には通じなかったりする事も多々あります。ただ、現地で頑張れば頑張るほど語学力は身に着きますので、最初は大変ですが継続して努力していきましょう。
また、例えフランス人と国際結婚してフランス生活が自分に合わず日本へ帰国する事になっても決して敗北した訳ではありません。海外生活が勝者ではなく婚姻関係を続ける事こそが勝者です。あなたのフランス人との国際結婚にこの記事が少しでも役立ちます事を願っております。
フランス人と国際結婚するとき必ず苦労する7つの要素
1. 結婚に必要な書類や手続きの煩わしさ
2. 日本とフランスの習慣&文化の違い
3. 配偶者の配慮と理解
4. フランス人配偶者の経済力
5. フランスでの居住地
6. フランス人男性はマザコン率高し
7. フランス人は愛がなくなると離婚
【おまけ】:「パクス(PACS)」