スウェーデン語に限らず、外国語を話す上で気をつけることの1つが、自覚無しでスラング単語を使い、相手を不快にさせることです。せっかく現地の言葉でやり取りしているのに誤解を招くのは避けたい所ですよね。そこで今回は、スウェーデン語で絶対に使ってはいけないスラング単語10フレーズをご紹介します。
スウェーデン語で絶対に使ってはいけない超危険な単語10選
1. helvete(ヘルベッテ)
helveteは「地獄」という意味です。Dra åt helvete! (ドロォルトゥ ヘルベッテ)がhelveteを用いた代表的なスラングで、「地獄に落ちろ!」といった意味のフレーズになります。英語ではくだけた会話でよく「地獄」を意味するhell(ヘル)を使ったフレーズを耳にしますが、スウェーデン語で「地獄」を含んだ一言は、それ以上に強いニュアンスが込められる、英語でいうfxckだと受け止めていいようです。英語が得意な方は、hell代わりについ使わないよう気をつけましょう。
2. jävla / djävla(ヤブラッ/ジェエラ)
上記のhelveteしかり、スウェーデン語のスラングには宗教色が強いものが多く、jävla (djävla)も例外ではありません。直訳するとおおよそ「悪魔らしき」「悪魔に関連した」という意味になり、日本語にすると、「くそ」(例:くそ暑い・くそみたいな日曜日)に該当する表現だと捉えて問題ないでしょう。つまり、英語で考えるとf○cking hotなどと同様、副詞・形容詞として用いられます。
3. fan (ファ)
Fanは先述のjävla(djävla)と同じく、おおよそ「悪魔」を意味する単語です。Fanを含む代表フレーズとしては「畜生め!」(英語でいう Goddamn!)を意味するFan ta dig!(ファン ト ゲイ)があります。また、類似した意味を持ちfanという単語を活用したFanken!・Fasiken! (ファンケン・フォシィケン)と一言で表されるスラングもあります。
4. satan (ソォータン)
この単語もjävla(djävla)やfanと同じ意味を持つスウェーデン語で、「悪魔」といったニュアンスを持ちます。Satanを用いた代表的なスラングは、Det är Satan!(デェートゥロ ソォータン)やSatan också!(ソォータン オクソォ)など。これらも2~4で紹介したフレーズ同様「畜生め!」(英語でいう Goddamn!)を意味します。以上が、宗教関連の単語を使用した悪い意味を持つスラングに紹介になります。次項以降も引き続き、宗教絡みのスラングが出てきますが、この先に登場するものに関しては、単語そのものに悪い意味はなく、文脈によってスラングとして使われているか判断する必要があります。
5. Gud(グッドゥ)
ここで紹介する宗教関連のスラングには、「神様」という意味の単語が登場します。このGudは、Herre Gud!(ハルレ グッドゥ)やGud förbannat!(グッドゥ フゥルバンナットッ)といったスウェーデン語でよく耳にします。それぞれ「なんてこと!」(英語でいうOh my God!)、そして「畜生め!」(英語でいうGoddamn!)という意味ですので、自分の発言に気をつけるのはもちろん、会話の中でGudという単語を耳にした際に、相手は特に神様や信仰の話をしたい訳ではなく、単にスラングを言っている可能性があることも心に留めておく必要があるでしょう。ちなみに、これらのスウェーデン語は英語の同表現ほど強いニュアンスを持つわけではないようですので、頻繁に聞こえてきた場合でも、あまり重く受け止めない方がいいでしょう。
6. Jösses!(ヨッスッス)
この単語で、宗教関連のスラングの紹介は最後になります。Jösses! は「ちぇっ!」程度のニュアンスを持つささやかな罵りを表現する単語です。 Jössesそのものは「キリスト」(英語でいうJesus)を意味します。英語でもJesus! という罵り方がありますが、こちらもGudが含まれた表現同様、Jösses! はJesus! ほどの強い意味合いはないとのことです。
7. skit(フィット)
スウェーデン語には周辺国の伝統の影響から、排泄物にまつわる罵りの表現も多く存在します。このskitは日本語だとまさに「くそ(糞)」(英語でいうshit)にあたります。この表現はあまりに日常化しているため、もはや強いニュアンスはまったくなく、この言葉を耳にしたところで、誰も気に留めないようです。Skitは形容詞や副詞にも、名詞の接頭語にもなるので、よく耳にする単語のひとつかもしれません。(例(副詞):skitgott、skit=「くそ」・gott=「良い」)
8. arsle(アッシェル) / röv(ルヴュ[巻き舌で])
arsleは「けつ・尻」あるいは「けつの穴」という意味の単語です。日本語では、このような単語を使って罵る文化がないので、想像しにくいかもしれませんが、例えば、英語でも悪口にass(尻)やasshole(けつの穴)という表現は欠かせません。スウェーデン語では、例えばKyss mig i arslet!(シィス メイ イー アッシェル)という言い回しがありますが、これは英語でいうKiss my ass! にあたります。直訳すると「尻でもキスしな!」というニュアンスですが、つまり相手からの侮辱に対する返しで「ふざけるな!」という意味合いなのです。ちなみに、arsleが「けつの穴」も意味すると前述しましたが、その意味で用いられる場合、相手はお尻の穴同然の「最低野郎!」だと馬鹿にしているということです。
9. knulla(キュニュッラ)/ fitta(フィッタ)/ kuk(キュウク)
ここまでで紹介してきた宗教・排泄物関連の罵りは日常的に使われます。しかし、その一方で歴史を通して、スウェーデン語では性的表現を用いたスラングがほとんど使われてきませんでした。その理由について、俗説ではスウェーデンでは男女差別の意識が非常に薄いからだと言われているそうです。しかし、ここ数十年で状況も変わり、先述の宗教・排泄物に関係した罵りは日常化したため、特段強いニュアンスを持つこともなくなりました。若者はその代わりに、強い感情を込めることが出来る新しい表現として性的表現を含んだ罵り言葉を選んでいるというのが現状なのです。
とはいえ、特に若者以外のスウェーデン人の場合は、このような表現に出くわすと非常に驚かれるようです。ですので、性行為・性器を意味するknulla(キュニュッラ)やfitta(フィッタ)・kuk(キュウク)に似た発音の単語には気をつける必要があるでしょう。
10. 家族を罵ると笑われる?
最後はおまけです。英語のスラングを見ていくと、上記までの言い回し以外に頻繁に耳にするのが、Motherf○cker!(「(母親を犯してしまうほどの)愚か者」という意味)のような、母親絡みの悪口ですが、スウェーデン語にはこの類のスラングに該当する言い回しがありません。日本語同様、スウェーデン語にはこのような概念や考え方がないため、仮にこういったニュアンスを含むフレーズで罵倒したとしても、スウェーデン人は自分が侮辱されていると理解できず、その突飛な発想に笑ってしまうこともあるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実は、罵りの表現やスラングに関して言うと、スウェーデン語は非常に乏しい言語です。特に女性やマイノリティの方々を馬鹿にする表現は数えるほどで、変な話ですが、各フレーズを見ても、発想の捻りもなく面白味がないです。逆説的ですが、スラングの乏しさを通じて、スウェーデン人の温和な気質に触れていただければ幸いです。また、ここで紹介したフレーズを用いることは、スラングが豊富な国で使うことよりも、重みがあることになります。いわば反面教師の言葉だと心に留めてきましょう。
スウェーデン語で絶対に使ってはいけない超危険な単語10選
1. helvete(ヘルベッテ)
2. jävla / djävla(ヤブラッ/ジェエラ)
3. fan (ファ)
4. satan (ソォータン)
5. Gud(グッドゥ)
6. Jösses!(ヨッスッス)
7. skit(フィット)
8. arsle(アッシェル) / röv(ルヴュ[巻き舌で])
9. knulla(キュニュッラ)/ fitta(フィッタ)/ kuk(キュウク)
10. 家族を罵ると笑われる?