台湾人の笑いのツボは比較的日本と似ていて、お笑い番組も一見日本と似たところが多くあります。そのため、日本の娯楽やお笑いも人気があります。「台湾にもお笑い文化があるの?」「台湾の芸人はどんな人なの?」「台湾にはお笑い大会や人気番組は?」など、台湾と日本のお笑い文化の違いを知れば、きっとあなたもより台湾に興味が湧くはずです。
そこで今回は、台湾に長年住んでいる筆者が台湾のお笑い文化や人気お笑い芸人・お笑い番組についてご紹介します。
台湾のお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ事情!
1. お笑い文化がさかんになったのは1990年代以降から
台湾にも、もちろんお笑いの文化はあります。ただ、台湾は1987年まで戒厳令下にあり、台湾独自のお笑い芸人の数は非常に限られていました。
台湾にお笑い文化が育ってきたのは、1990年代以降です。台湾社会が民主化し、多くのテレビ番組やできてきてからといえるでしょう。その意味では、日本の「漫才」のように、長い歴史をかけて培われてきた台湾独自のお笑い文化なるものが発達してくるようになったのは、日本と比べるとだいぶ後になってからであるといえます。
2. 日本と似て非なる台湾のお笑い文化のスタイル「相聲(シャンシェン)」
台湾ではお笑い芸人のことを「搞笑芸人(ガオシャオイーレン)」もしくは「諧星(シィエシン)」といいます。台湾にはいわゆる「漫才」がなく、それに最も近いのが「相聲(シャンシェン)」と呼ばれるものです。
日本の漫才はボケとツッコミに分かれているのが特徴ですが、「相聲(シャンシェン)」はネタの時間も短く、テンポやスタイルが漫才とは違います。深く突っ込んだりといった手法はありません。また、台湾のお笑い文化には「鉄板ネタ」みたいなのがなく、これは日本とは決定的に違う点です。
ちなみに日本の落語は、台湾では「単人相聲(ダンレンシャンシャン)」とか「一人相聲(イーレンシャンシャン)」といわれます。つまり、「一人でやる漫才」という意味で、これは日本オリジナルの話芸ということですね。
なお、「とんねるず」は「隧道二人組」、「アンタッチャブル」は「不可接触二人組」というように、台湾では日本の漫才コンビになんでも「~二人組」と付けたがります。
3. SNSなどネット上に多くの「お笑い有名人」が存在
日本では「お笑い文化」というのは芸人の発想から始まっていますが、台湾のお笑い芸人が日本と違うところは、台湾ではテレビでお笑い芸人がいる以外に、ネット上にも多くの「お笑い有名人」がいることです。ビデオや動画を作ったり、漫画を描く人もいて、日本とは全然違っています。
台湾ではFacebookがテレビよりも大きな影響力を持っていますが、日本ではそこまで流行していないので、台湾のような形で活動しているお笑い芸人は多くありません。その意味において、お笑い芸人は日本より多様な場に分散しているといえます。
4. 台湾はお笑い芸人と歌手・劇団員との境界線がゆるやか
台湾のお笑い芸人は、歌手や劇団員とそれほど大きな区別はないのが特徴です。古くは1980年代からバラエティ番組「猪哥亮歌廳秀」で一世を風靡したお笑いタレントとして、哥亮(ジュー・グーリャン、2017年大腸がんのため逝去、享年70歳)がおりました。
現在台湾で人気のお笑い芸人は、沈玉琳(シェン・ユーリン)、阿翔浩子(アーシャオ・ハオズ)、張文綺(チャン・ウェンチー)、曹雅雯(ツェン・ヤーウェン)、趙正平(チャオ・ジャンピン)、小鍾(シャオジョン)、林柏昇(リン・バイシャン) などが挙げられます。
5. 台湾で人気お笑い長寿番組といえば「綜藝大集合」(2001年~)に決まり!
台湾ではバラエティ番組を「綜藝節目」と呼び、日本と同じようなコンテンツもあれば日本とは違ったぶっ飛んだものもあります。しかし、多くの台湾バラエティを見ると、そのタイトルにダイレクトな形で「綜藝~」と名を打っています。
その中でも、特に人気が高くて多くの台湾人に認識されているのが民視テレビの「綜藝大集合」と呼ばれる番組です。ケーブルを含めたチャンネル数が日本と比較しても桁違いに多い台湾では、10年以上もバラエティ番組が続くことは極めて稀でしょう。
この番組の特徴は台湾各地のロケであり、その土地の人間を巻き込んだいわゆる全国規模の視聴者参加型番組で、世代を問わず、視聴者の取り込みに成功しています。
メインコンテンツはタレントと視聴者の運動ゲームですが、合間にその土地の名産の紹介やプレゼントコーナーなどもあって、地方の活性化にも一役買っています。
そのほかに有名なのは、三立テレビが提供している「綜藝大熱門」(2013年~)「綜藝玩很大」(2014年~)といったバラエティ番組で、これも長寿番組となっています。
そして現在、台湾で最も新しい「綜藝シリーズ」バラエティが、台湾テレビの「綜藝3國智」と呼ばれる番組です。番組コンテンツは先ほどの「綜藝玩很大」と似通った部分もありますが、国内ロケによるゲームバラエティになります。この「綜藝3國智」の「3國智(サングォジー)」という名は、中国語の発音が「三国志」と同じことから、「三国志」を真似たバラエティです。
6. 台湾に進出する日本のお笑い芸人
台湾に最初の日本のお笑い文化を持ち込んだのは、1990年代中頃から台湾でも有名になった「志村けん」だといわれています。最近は、吉本興業やソニーエンターテイメントといった企業だけではなく、台湾に進出する日本人のお笑いタレントもちらほら出てきています。
台湾は親日というイメージがあり、日本のお笑い文化も受け入れられやすい土壌があるためか、日本のお笑いを台湾に広めるため活動中のお笑いタレントもおります。
たとえば、「台湾住みます芸人」として、台湾で活躍している漫才ボンボン(漫才小爺)のお二人や、テレビドラマ『風中緋櫻 霧社事件』にも出演した俳優・お笑いタレントの葛西健二、女性お笑い芸人の渡辺直美、テレビ番組『綜藝大集合』にも出演しているお笑いタレント・ねんど大介などが有名です。
ねんど大介は、かつては上海を中心に中国で活躍していましたが、今や台湾でもとても有名なお笑い芸人で、2018年の面白い芸人ランキングに名前が挙がっています。
まとめ
いかがでしたか?
台湾のお笑い事情について、少しでも詳しく知ることができたでしょうか。台湾のお笑いタレント・芸人は一般の芸能人との境界線が比較的緩やかです。また、比較的長く続いているバラエティ番組もあり、中国語が理解できればより面白く感じることができるので、中国語を勉強している方にもおすすめです。台湾人と同じタイミングで笑うことができればしめたものですよ!
なお、中国語の勉強におすすめなドラマと映画を以下にまとめましたので、こちらも合わせてチェックしてみてください。
あなたがさらに台湾を好きになりますように!
台湾のお笑い芸人って?在住者に聞く6つのおもしろ事情!
1. お笑い文化がさかんになったのは1990年代以降から
2. 日本と似て非なる台湾のお笑い文化のスタイル「相聲(シャンシェン)」
3. SNSなどネット上に多くの「お笑い有名人」が存在
4. 台湾はお笑い芸人と歌手・劇団員との境界線がゆるやか
5. 台湾で人気お笑い長寿番組といえば「綜藝大集合」(2001年~)に決まり!
6. 台湾に進出する日本のお笑い芸人