中国の文化や歴史に興味がある方、中国に駐在経験のある方、留学などを考えておられる方など、本サイトをご覧になられる方は、何かしら中国に関心の高い方だと思います。中国旅行の情報は、検索すると数多く見つけられるはずですが、移住情報となると少ない情報しかないのが現状です。そこで今回は、中国へ移住しようと考えていたり、迷われている皆さんに、役立つ情報をご提供致します。
中国へ移住するあなたに知ってほしい7つのお話!
1. ビザの取得
身近な隣国中国ですが、外国人が入国するにはビザが必要になります。例外として15日以内の滞在の場合はビザが不要ですが、これ以外の場合はビザが無いと中国に滞在できません。ビザにはいくつかの種類がありますので、先ず主なビザの種類をご紹介致します。
1)Dビザ
これが定住ビザです。
2)Fビザ
仕事、スポーツ、国際交流用のビザです。
3)Lビザ
旅行、観光用のビザの事です。
4)Mビザ
商務、貿易用ビザです。
5)Qビザ
中国在住の家族に訪問用のビザです。
6)Xビザ
留学ビザです。180日以上のX1ビザと、それ以下のX2ビザがあります。
7)Zビザ
就業、駐在用ビザです。定住ビザの取得手続き
中国に移住するにはDビザ(定住ビザ)を取得する必要があります。日本の中国大使館のWEBサイトには下記の記載になっています。・申請対象者:中国に永住目的で居留する者。
・申請必要書類:中国公安部発行の”外国人永久居留身份確認表”原本,及びコピー。
・注意事項:この査証を取得後,中国に入国してから30日以内に滞在地の県以上の地方人民政府公安機関出入境管理機構に居留証を申請して下さい一見すると簡単そうな手続きに見えますが、実はこの陰にかなり厳格な条件が設定されています。
2. 定住ビザの取得条件
完全に中国に定住したい場合は定住ビザを取得する必要があります。先ず基本条件が3つあります。これは普通の生活をしている人なら問題ありません。中国の法律を守り、身体が健康で、過去に犯罪歴が無いことの3つです。その上で、厳格な7つの条件が設定されています。下記がその条件になります(一部略しています)が、この内の一つに該当すれば良い事になっています。
1)中国で直接投資を行い、投資状況が3年間続けて安定しており、きちんと納税を行っている事。
2)中国で副総経理・副工場長以上もしくは副教授・副研究員など副高級職以上の役職に就いている事。(以下略)
3)中国に対し卓越した貢献をした、又は国から特別に必要とされている事。
4)1-3項目に当てはまる者の配偶者および18歳未満の未婚の子供。
5)中国国民あるいは中国の永住権を所持する外国人を配偶者とし、婚姻期間5年を上回り既に中国に5年以上居住実績があり、毎年9カ月以上中国に滞在しかつ安定した生活保障と定住所があること。
6)18歳未満の未婚の子供で、両親に生計を依存している事。
7)国外に直系親族がおらず、中国国内の直系親族と暮らし、年齢は60歳以上、中国で連続5年以上居住しており、毎年9カ月以上中国に滞在し、かつ安定した生活保障と定住所があること。
という様に、定住ビザ取得の条件は極めて厳格なんです。普通の人が日本国内の様に勝手にどこにでも転居できるのとは全く違うと言う事なんです。5)が最も普通の人にあてはまる条件だと思うのですが、それでも要求されている期間を中国で連続して過ごした人となると、普通の人ではなかなかおられないと思います。それでも、上記7つのどれかに該当していて、やはり中国に定住してみようと思ったならば、手続きを開始してみて下さい。
3. 定住以外の場合
定住までは考えていなくても、短期で移住したいと考えておられる場合は、Dビザ以外の何れかのビザを取得すれば滞在することができます。筆者の友人に、中国に移住した日本人男性がいます。奥様が中国の方で、日本でずっと生活されていたのですが、数年前に奥様の故郷に移住されました。最初は、期限が6ヶ月の親族訪問用のQビザを取得して中国へ入国。更新するには一旦国外に出て、再入国して公安に届けるそうです。その後中国で職を得た為、Zビザを取得されて、中国で仕事をしながら居住されています。ですから、Dビザを取得できなくても、他のビザで入国し、期間満了毎に更新しながら、最終的にはDビザ取得条件をクリアするという事も可能です。
4. 移住するのにお勧めの都市
中国はご承知の通り広大な大陸国家ですから、都市間の歴史、文化、民族、市民性、経済的発展性の違いがとてもある国です。共産主義国家なのに、貧富の差も極端ですし、社会保障も均質ではありません。ですから、日本人が移住するには、一般的には沿海部の大都市がお勧めです。
筆者の経験で言うならば、その中でも大連が移住に最も適した街と言えます。大連は遼寧省の最南端で海に面した港町です。元々漁港でしたが、帝政ロシアが東洋のパリを模して都市建設を初め、日露戦争後は日本がその後を引き継いで発展させた街です。対外的に開かれた港町という性格とも相まって、どこか西洋と和が混じった独特の雰囲気を持った街です。周囲を綺麗な海に囲まれているので、中国で稀有の海鮮が食べられる街でもありますし、海と緑と晴天に恵まれた風光明媚な観光都市でもあります。人柄が温和で朴訥とした東北人気質の市民性ですし、何せ親日的です。日本の時代の建築物がそこかしこに残されて活用されていますし、日本の中古路面電車も走っています。コンパクトでありながら、近代都市機能と、観光都市機能を有しているバランスの取れた中核都市です。上海や広州に比べて物価も安いですし、とにかく日本に最も馴染みのある中国都市と言ってもいい街です。
農村に住みたいとか、もっと大都市に住みたいとか、ご希望はそれぞれおありだと思いますが、筆者は間違いなく大連をお勧めしたいです。
5. 住宅事情
大連などの様な大都市に居住するのであれば、基礎的社会インフラは充足されているので、日本の生活と遜色無い生活が可能です。ただ、居住する住居によっては違いが現れると思いますので、居住物件は細かくチェックして決めた方が良いと思います。基本的に中国の住宅は、都市部はマンションだと思って下さい。中国のマンションは日本のマンションと決定的に違う事があります。それは全棟一括して内装されて販売されていないという事です。住宅開発会社は敷地と建物を開発して1室ずつ販売しますが、室内はスケルトンと言って全く内装が施されていないコンクリート打ち放しの状態です。
中国の人たちは日本人の様に均質ではないので、インテリアは各自の個性を生かして、自分好みの室内にしたいのです。ですから、部屋を購入後、各自が内装工事業者を依頼して住める様に内装しますので、同じマンションでも室内は全てインテリアが違います。又日本の様に全棟賃貸のマンションやアパートはありません。部屋を貸したい個人が不動産屋さんを通じて部屋を貸している賃貸が普通です。こういう住宅慣習ですから、マンションを買う場合は自らで内装する事になりますし、賃貸するなら分譲マンションのある1室を借りるという事になります。特に賃貸の場合は、外から見たのと、室内のイメージが同じとは限らないし、室内設備も各個人の内装工事のやり方で違いがありますから、入居前にきちんとチェックが必要です。
6. 社会保障
一番気になるのは社会保障です。年金と健康保険です。年金は、海外に在住することになったら、国民年金に任意で加入することができます。日本国内で最後に居住した住所を管轄する年金事務所が受付窓口になります。年金の受給対象になった場合は、海外の銀行口座に振り込んでもらう事もできます。次に中国の医療機関に受診・入院した場合の医療費ですが、中国の病院での支払いは日本の健康保険での手続きができませんから、全額負担しなければなりません。ですが、全額支払った後に所属する日本の健康保険組合に請求すれば、自己負担額3割を除く7割が戻って来ます。
問題は、一時的に全額支払わなければならないことです。少額の医療費ならまだしも、入院して手術などをした場合の高額医療費の場合は、自己負担額が大きくなってしまいます。国の病院事情は日本に比べて劣悪ですから、医療機関にかかる場合は外国人用の病院をお勧め致します。全額一旦は自己負担しなければなりませんが、外国人用の病院の場合はクレジットカードでの支払いができる所もありますので、調べてみて下さい。
7. 共産主義国家だということを忘れないように
最後に、国家のあり方についてコメントして終わります。中国の大都市にいると、表面的には日本とそう変わらない様に見えますが、れっきとした共産主義国家です。国家の上に共産党があるという、日本人には理解できない仕組みの国なんです。ですから、共産党の都合の悪い事はみな隠されますし、批判することもできません。見た目にはわかりませんが、例えば駅や病院などに行ってみると、日本と違って不都合な事ばかりに遭遇する事になります。日本国憲法に規定されている様々な自由はありません。特に表現の自由が無いことに日常生活ですぐ気がつくはずです。自由主義国家なら当たり前に誰でも利用しているwebに制限があります。
例えばFacebook, twitter, Google,YouTubeなどは中国では禁止されています。ですから使う事ができません。例えばNHKワールドというNHKの国際放送を見ていても、ニュースなどで突然画面が真っ暗になることがあります。これは検閲されていて、中国共産党に都合の悪い部分を国家が遮断しているのです。この様に、あらゆる場面で中国共産党は思想的な発言や書き込みを監視していますから、この事を頭に入れておいて下さい。これが共産主義国家なんです。それと、中国一般市民の人たちの考え方とは必ずしも一致していません。一般市民は優しい良い人たちが多い国なんです。
まとめ
いかがでしたか?
中国に定住するには、定住ビザ取得の厳格な条件をクリアする必要がありますが、それ以外の移住であれば入国する内容に応じてビザを取得して移住できます。その上で、定住してみたいと思えたなら、定住ビザ取得条件の期間をクリアするか、管轄の政府機関にお問い合わせをお勧め致します。
中国へ移住するあなたに知ってほしい7つのお話!
1. ビザの取得
2. 定住ビザの取得条件
3. 定住以外の場合
4. 移住するのにお勧めの都市
5. 住宅事情
6. 社会保障
7. 共産主義国家だということを忘れないように