ギリシャの通貨はユーロ、ユーロ加盟国28か国のうち19か国で使われている通貨です。ここ最近の経済危機によるキャピタルコントロールと呼ばれる預金の引き出し上限設置など、これからギリシャに旅行に行く方は少し気になることがあるかもしれません。
そこで今回は、そんな不安を取り除くべくギリシャの通貨や両替事情、そして最近の動向についてまとめてみました。
ギリシャの通貨や両替事情を徹底調査!旅行前に知りたい7つのポイント!
1. ギリシャの通貨はユーロ
ユーロはギリシャ語でευρώ/エヴロと言います。1ユーロは100セント、セントはギリシャ語でλεπτό/レプト(単数)又はλεπτά/レプタ(複数)といいます。セントには鋼に銅加工が施された1・2・5セントコイン、ノルディック・ゴールドと呼ばれる合金でできた10・20・50セントコインがあります。1ユーロコインは白銅の回りに黄銅が施されており、2ユーロコインは黄銅の回りに白銅が施された一回り大きいコインです。コインはギリシャ語でκέρμα/ケルマ(単数)またはκέρματα/ケルマタ(複数)と言います。紙幣には5・10・20・50ユーロの他に100・200・500ユーロがあります。紙幣はギリシャ語でχαρτονόμισμα/ハルトノミズマと言います。
2. 一歩遅れて加入したユーロ圏
1999年に11か国がユーロの導入を先駆し、ギリシャは2001年にユーロを導入する第12か国目になりました。当時他の11か国と一緒に導入できなかったのには、導入の経済基準に達していなかった背景があります。ユーロ加入を目指し公共支出を大幅にカットしたりと厳しい緊縮政策を強いられながらも、当時の世論調査では国民の3分の2以上がユーロ加入に賛成していたという結果があります。最近の経済危機後での世論調査では、「EU加入はギリシャにとって得だった」と感じている人は54%に達しているものの、「ユーロ通貨加入はギリシャに害をもたらした」と感じている人は反対に55%に達しているという結果も出ています。
3. 古代からあった通貨ドラクマ
ユーロに加入する前ギリシャで使われていた通貨はδραχμή/ドラクミ、複数形だとドラクマでした。紀元前300年前から使われていた記録がある非常に古い通貨です。ユーロ通貨に切り替わったときの両替レートは1ユーロに対して340ドラクマでした。上にも述べましたが金融危機後日に日に苦しくなる生活を強いられている国民の間ではユーロに加わるべきではなかったと感じている人が多く、ドラクマに対してどこか懐かしく愛おしい感情を抱いている人が多くいます。日本にも「一文無し」というような古い通貨の名称を含む表現がありますが、ギリシャでも「一銭も(ない)」という時にούτε μία δραχμή/ウテ・ミア・ドラクミと今でも言います。
4. コインはギリシャらしいデザイン
ユーロのコインの片面はどれも同じデザインですが、裏面は発行された国によってそのデザインが違います。ギリシャのコインはすべてヨルゴス・スタマトプロスによってデザインされたものです。1・2・5セントコインには様々な船が、10・20・50セントコインには歴史上の重要人物が、1・2ユーロコインには歴史や神話に関連したものが描写されています。
5. 500ユーロ紙幣が廃止される!?
2016年5月に欧州中央銀行(ECB)は500ユーロ紙幣の発行を打ち切ることを発表しました。マニーロンダリングなどの不正行為を取り締まるための措置だといわれています。しかし発行が中止されるだけで廃止されるわけではありません。存在する500ユーロ紙幣の価値はそのままです。
ギリシャでは2016年3月から、500ユーロ紙幣を20ユーロか50ユーロ紙幣に崩すときに1.5%の手数料を取られるようになりました。500ユーロ紙幣を銀行に預ける時にはこの手数料は発生しません。経済危機真っ只中の2012年ごろからキャピタルコントロールの布かれる2015年までの間に銀行に不信感を抱いていた富裕層が預金を引き出し、各個人が現金で保管している金額は総額200億ユーロにのぼると言われています。量がかさばらないことから500ユーロ紙幣が好まれていましたが、上のECBによる動きを受けて500ユーロ紙幣を崩すようになりました。そのためギリシャの各銀行は20・50ユーロの需要が大幅に高まり、銀行に保管する紙幣を確保するコストが高まったことを手数料発生の理由として挙げています。
6. 高額紙幣は使いにくい
上で述べた理由から500ユーロの受け取りを嫌がる店は多くあります。100・200ユーロ紙幣も「おつりが足りなくなる」や「偽紙幣かもしれない」という理由から受け取りを拒否されることも。両替の際はできるだけ50ユーロ紙幣でもらいましょう。
7. 現金の引き落としと両替について
2016年8月現在、ギリシャの銀行口座からの引き落としは1週間に420ユーロまでという規制がありますが、外国の口座からの引き落としに上限はありません。クレジットカードでの支払いもほとんどの店で可能ですので安心して旅行を楽しんでください。ギリシャでは特に両替のレートがいいということもありませんので、空港などで両替を済ませておくのが一番安全で手間のかからない方法だと思います。
まとめ
いかがでしたか?
経済危機を受けてこれからの動向が気になるユーロですが、基本的に旅行者が困る可能性は極めて低いといえるでしょう。キャピタルコントロールも最近になって緩和されました。週420ユーロの代わりに2週間で840ユーロの上限になり、一回に高額を引き落とせるようになったことで家賃や電気代などまとめて現金が必要になるときに便利になりました。ギリシャの経済改革の道は始まったばかりですが、是非とも頑張って乗り切ってほしいものです。
ギリシャの通貨や両替事情を徹底調査!旅行前に知りたい7つのポイント!
1. ギリシャの通貨はユーロ
2. 一歩遅れて加入したユーロ圏
3. 古代からあった通貨ドラクマ
4. コインはギリシャらしいデザイン
5. 500ユーロ紙幣が廃止される!?
6. 高額紙幣は使いにくい
7. 現金の引き落としと両替について