ユーモアのセンスって国によって違いますよね。海外のお笑いは日本と大きく違うところが多く、それによって、日本人にとっては少しつまらないと感じるときもあるでしょう。さて、それではトルコのお笑いはどうでしょうか。今回は、トルコ人の著者が現地のお笑い文化やトルコ人のお笑い芸人について詳しくご紹介します!
トルコのお笑い芸人って?トルコ人に聞く6つのおもしろ事情!
1. トルコにもお笑い文化があるの?日本との違いは?
トルコにも、もちろんお笑い文化があります。でも、お笑いの定義が違うと思います。
日本の「お笑い」というと、基本的にはボケとツッコミがいるいわゆる「漫才コンビ」を指しますよね。一方でトルコのお笑いと言えば、スタンドアップコメディーというジャンルをイメージします。スタンドアップコメディーは一人のコメディアンがステージに立って、ストーリーを話してオチで笑わせるといったスタイルです。また、ツッコミもありません。
ただ、トルコのお笑いは昔からずっとこのスタイルでありませんでした。次の章ではトルコの伝統的なお笑い文化をご紹介していきます。実は意外と日本と似ているところがあるんですよ。
2. 実はトルコのお笑い文化は歴史がとても長い!
昔のお笑いと言えば、最もよく知られているのはオスマン帝国時代の伝統的影絵劇キャラクター、「Karagöz / カラギョズ」と「Hacivat / ハジワット」です。ハジワットは頭のいいツッコミキャラ、カラギョズは純粋で陽気なボケキャラ担当になります。
実は、この2人は14世紀に実在していて、当時の都市、「Bursa / ブルサ」という街でモスクを建設する労働者だったと言われています。2人の漫才は同僚の労働者たちを爆笑させ、みんな全く仕事をせずに彼らのおもしろい話を聞いてばかりいたとか。
彼らのスタイルは日本のお笑いに似ていて、ボケとツッコミがあるところが面白いですよね。今では、この影絵劇はラマダンというお祭りでしか見なくなりましたが、まだまだトルコ人なら誰もが知っている文化の一つです。
3. 一昔前のトルコのお笑い文化
長い歴史を持つトルコのお笑いは、今は漫才というスタイルとは別のものとなっています。
最近のお笑いを紹介する前に、トルコのお笑い歴史の中で大きな影響力を持つ映画をご紹介します。その映画の名は「Hababam sınıfı / ハババム スヌフ」。1975年に公開された映画シリーズで、ハババムというニックネームがついたとある高校クラスの高校生活を描いた映画です。
ただ、日本の高校生青春映画のようなものと違って、登場人物はみんないい年した大人たち。中でも最もよく知られている天然ボケキャラ「İnek Şaban / イネク シャーバン」を演じる「Kemal Sunal / ケマル スナル」は、当時なんと31歳だったそうです。
当時はスタンドアップコメディーなどが無く、「お笑い=コメディー映画」だったので、彼が一昔前のコメディアンだと考えられます。この映画シリーズはYoutubeの公式アカウントで見ることができるので、ぜひぜひおすすめです!
4. 今のトルコのお笑い文化
2000年以降のトルコのお笑い文化は、スタンドアップコメディーと演劇系お笑い番組がメインになりました。10年前に「Çok güzel hareketler bunlar / チョク ギュゼル ハレケトレル ブヌラル / コメディーキッチン」という番組を皮切りに、同じスタイルの番組が他のチャンネルで次々と生まれ、演劇系お笑い番組ブームが始まりました。
これらの番組では、トルコ社会を批判や、男女関係のトラブル、他の番組のパロディーや、ちょっとした下ネタなど、毎回テーマの違う演劇が見られるのでかなり面白いです。
なお、トルコのテレビ事情については、以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
5. トルコのお笑い芸人は誰?
今のトルコのお笑い芸人と言えば、誰もが最初に思い浮かぶのは「Cem Yılmaz / ジェム ユルマズ」ですね。スタンドアップコメディアンとしても有名だし、俳優やシナリオライターとしてもとても有名な人です。
スタンドアップショーでは、主に自分の経験や昔の面白い出来事、トルコ社会や下ネタまで幅広くテーマで話しています。またYoutubeの公式チャンネルではその面白いシーンの動画があるので、トルコのスタンドアップコメディーが見たい人や、自然なトルコ語が聞きたい人におすすめです!
また、トルコで人気のお笑い芸人は、Cem Yılmazの他に「Ata Demirer / アタ デミレル」「Şahan Gökbahar / シャハン ギョクバカル」「Tolga Çevik / トルガ チェヴィック」も挙げられます。
6. 最近のお笑い芸人の映画が批判されている?!
最近問題となっている映画が、上で名前を述べたコメディアン「Şahan Gökbahar」が「Recep İvedik / レジェップ イヴェディク」というキャラクターを演じる映画シリーズです。
主人公がちょっと汚い言葉を使ったり、失礼なことをしたり、自分勝手なキャラクターなのですが、その失礼な行動が面白く、馬鹿馬鹿しい振る舞いがトルコ人にウケました。ただ、昔のコメディー映画と比べるとキャラクターが下品になっていると、批判の声が挙がっています。
しかし、ファンもとても多く、同じシリーズの5番目の映画「Recep İvedik5」が2017年の映画興行収入ランキングのトップになりました。
まとめ
いかがでしたか?
昔と今のトルコのお笑いの感覚が違うのがわかりますね。昔はボケとツッコミという決まったキャラの漫才スタイルのお笑いもありましたが、今のお笑い芸人はスタンドアップコメディアンというスタイルが主流です。
年々進化していくところがトルコのお笑いの特徴かもしれませんね。70代のHababam sınıfıという映画と今のお笑い芸人Cem yılmazのスタンドアップを見るとその違いがわかると思います。トルコ人の著者はHababam Sınıfıの方が日本のお笑いのセンスに近いと思いますので、良かったら見てみて、日本のお笑いと比較してみてください!
トルコのお笑い芸人って?トルコ人に聞く6つのおもしろ事情!
1. トルコにもお笑い文化があるの?日本との違いは?
2. 実はトルコのお笑い文化は歴史がとても長い!
3. 一昔前のトルコのお笑い文化
4. 今のトルコのお笑い文化
5. トルコのお笑い芸人は誰?
6. 最近のお笑い芸人の映画が批判されている?!